DXが加速する口腔内スキャナー完全ガイド 2022/2023
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巻頭特集Part1 ◆ ◆ ◆15どの機種であってもフルアーチスキャンでの補綴装置製作は難しく,シリコーン印象材を用いた従来法に劣るのが現状である2.筆者らの研究3でも,6本のインプラントが埋入された無歯顎模型にスキャンボディを装着し,ラボスキャナー,4つのIOS,シリコーン印象材を用いた従来法を用いて6通りの計測範囲について,それぞれ計測したデータの精度について検証すると,IOSの精度は印象採得範囲に影響を受け,広範囲の印象は精度が有意に低下することが明らかになっている(図2〜4).これらの原因はIOSではスティッチングと呼ばれる,画像をつなぎ合わせて形態データを構築していくため,スキャンの範囲が広くなるにつれて誤差の蓄積が大き図2 6本のインプラントが埋入された無歯顎模型にスキャンボディを装着し,ラボスキャナー,4つのIOS,シリコーン印象材を用いた従来法からSTLデータを取得3.岩内洋太郎,髙場雅之,馬場一美1.口腔内スキャナーの文献的比較と臨床例 IOSは直接,口腔内をスキャンするため,印象材の重合収縮,石膏の硬化膨張による寸法変化の影響を回避でき,即時的かつ視覚的に印象面の評価が可能で,印象面に生じる予期せぬ荒れや気泡,アンダーカットなどを見逃す可能性も低いため,理論上は従来法より良好な適合の補綴装置を製作することができる.IOSによる印象の正確度(Trueness)・精度(Precision)は,スキャン範囲の広さに比例して低下し,特にフルアーチスキャンではこの問題は顕著である1ことが報告されている.図1に示すように,スキャン方法間での有意差は認めるものの,いまだTDS : True Definition OMN:CEREC OmnicamTR2 :TRIOS2CCS :CS3600D810 :ラボスキャナーCON :従来法Scanner 2.口腔内スキャナーの比較

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