エビデンスの調べかた・読み解きかた入門
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上野 英語論文の抄読が習慣化しない理由には、「英語論文を読むことそのものがゴールになってしまっている」ことにあると考えられ、読んだ論文をどのように活かすかという“アウトプットを明確にする”ことが重要です。一方で、読んだ英語論文を十分に活用するためにはさまざまな工夫が必要となります。そこで、講演や執筆などアウトプットの経験を多く持つ丸尾勝一郎先生に、「英語論文を系統立てて管理し、活用するための工夫」についてお話をうかがいました。上野 丸尾先生は、講演や執筆を精力的にされていますが、そのようなアウトプットの場に英語論文を活用するために、どのような工夫をされていますか?丸尾 せっかく苦労して読んだ論文なので、しっかりと管理することが重要だと考えています。管理することによって、それらを効率よく活用することができます。上野 なるほど。では、論文を管理する際のポイントを教えていただけますか?丸尾 論文をカテゴリ分類する際にできるだけ細分化することですね。すなわち、「インプラント」ではなく、「上顎洞底挙上術(ラテラルアプローチ)」や「骨補填材(GBR)」などといったように、検索時の精度が高まるようなカテゴリ名にすることが重要であると考えています。上野 では、具体的にどのように管理されていますか?丸尾 私は、有料の論文管理ソフト「Papers」を使用しています。このソフトのすぐれた点は、まず、ダウンロードした論文をソフトにドラッグ&ドロップするだけで、自動的にタイトル、著者、雑誌名などの論文の情報を取得してくれるところです。そして、パソコンのフォルダで論文を管理すると、階層深く複雑になってしまうことがよくありますが、このソフトではiTunesのプレイリストのようにカテゴリごとに分類することができるため、整理が容易で、検索も迅速かつ直感的に行うことが可能です(図1)。 論文を読む際には、メモしたりハイライトをつけたりすることもできるため、読み返す時にイチから英語で読まずに済みます。Macユーザーの場合は、3本指タップで英単語の翻訳もで96Interview with Dr. Maruo1Column効率よく活用するために論文を管理する論文を効率よく管理・活用するには?Interviewee丸尾勝一郎Katsuichiro Maruo  Interviewer上野大輔Daisuke Ueno

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