次に、具体的な臨床疑問を用いて、SRの拾い読みによる問題解決方法の具体例を提示します。 左側上顎犬歯に歯肉退縮を認める患者(33歳、女性、全身的健康)が来院。患者は審美性の回復を求めています。左側上顎犬歯はMiller Ⅱ級の単独歯歯肉退縮を呈しています。根面被覆を行うこととしましたが、どのような術式を用いればよいか疑問に思いました。 一般的には結合組織移植術(CTG)がゴールドスタンダードと考えられていますが、結合組織を受容床に露出させて縫合すると、生着するか心配です。移植片を有茎弁で覆う術式(CTG+歯肉弁歯冠側移動術[CAF])を用いるほうが妥当か、むしろ移植片を用いずにCAFのみで治療することは可能か、CAF単独治療であれば術後出血など合併症の心配が減少します。悩んだあなたはSRを読むこととしました。ステップ1 PICOを用いて、上述の疑問を整理すると、以下のとおりになります。60Checkpoint患者情報から必要な項目を厳選しますCheckpoint可能な限り具体的なアウトカムを選定しますP: MillerⅡ級単独歯歯肉退縮を呈した上顎犬歯I:CTG+CAFC:CAF単独O:歯根被覆率T:術後半年以上Checkpoint結果を評価するのに妥当な時期としますDai A, Huang JP, Ding PH, Chen LL. Long-term stability of root coverage procedures for sin-gle gingival recessions:A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol 2019;46(5):572-585.2.1|選択基準2.1.1|研究の種類 歯肉退縮の治療に関する無作為化比較試験(RCT)で、追跡期間が2年以上のもののみを対象とした。2.1.2|参加者の種類 歯冠付着力を喪失していない非修復の限局性(1歯)歯肉退縮の明確な臨床診断を受けた患者を対象とした。2.1.3|インターベンションの種類 局所的な歯肉を治療するためのあらゆる形態の治療法を考慮した。2.1.4|アウトカムの種類 主要評価項目は、完全歯根被覆率(CRC)と平均歯根被覆率(MRC)である。副次的アウトカムは角化組織の幅(KTW)と患者を中心としたパラメータとした。データ不足の研究は除外した。※DeepLによる自動翻訳(日本語・用語として不適当な文章が含まれる)ステップ2 論文検索の結果、今回は以下の論文1)を参考とすることにしました。ステップ3-1 まず、本SRが扱っているCQと自身のCQが合致しているかを確認します。本論文では、“2 MATERIALS AND MTHODS”の“2.1 Selection criteria”に記載されています1)。 次に、論文に記載された選択基準を“論文のPICO”として定式化してまとめます。システマティックレビューの臨床における利用法シナリオPICOによる問題の定式化論文を選択するSRのPICO・選択基準を確認
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