エビデンスの調べかた・読み解きかた入門
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3 いまや医療従事者であれば、EBM(Evidence-Based Medicine)という用語を知らないものはいないほど、“エビデンス”という言葉は医療界に浸透しています。しかしながら、これまで日本の歯科界におけるエビデンスは、適切に活用されていたとは言い難く、自分の臨床を裏づけるための“後付け的”な理由で使われてきたようにも思われる部分がありました。 そのような誤ったエビデンスの扱いに疑念を感じ、 正しいエビデンスの活用法を伝えたいという思いから、留学経験のある臨床家と、エビデンスに造詣の深い大学人がチームを組んで本書を作りました。 本来エビデンスは、治療を開始する前に問題点を抽出し、その問題点を解決するための最新かつ最善の方法を吟味するための手段です。そして、その問題点に応じて適切なエビデンスを取捨選択するという作業は非常に重要であり、採用する歯科医師には、しっかりとしたエビデンスに関するリテラシーが求められる時代になっています。 そこで、本書は以下のような幅広い層に向けて、できるだけわかりやすくエビデンスの取り扱いについて解説しました。●最新のエビデンスを活用した臨床を行いたい●歯科界で講演や執筆をしたい●大学院で研究をする予定がある●自分の臨床データを収集し、臨床研究をしてみたい 本書が、歯科医師のエビデンスリテラシーを向上させ、結果として質の高い医療が患者さんに提供されることを願っています。丸尾勝一郎はじめに

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