12732g32i32h32j 矯正治療中の歯髄壊死はマウスピース型矯正装置に関わらず起こりえることであり、他の矯正治療と同様に、まずは矯正力をかけないようにすることが重要である。マウスピース型矯正装置の使用を中止し、その後、適切な歯髄処置を行い状況の改善に務める。マウスピース型矯正 歯髄壊死の原因は、傾斜移動などによって歯槽骨の範囲から歯根が出てしまった場合や、外傷歯、矯正の力が強い場合などが一般的に挙げられる。矯正治療中の歯髄壊死は予測できないことが多いため、完全な予防は難しい。しかし、上顎前突のケースは前歯の移動量も多く負担がかかりやすい。そして、今回のように衝突や転倒でぶつけることが多いため、事前のリスクとして十分な説明32g 治療開始12ヵ月後。上顎前歯部に異常は認められない。32h 治療開始16ヵ月後。₁の変色が認められ、矯正治療を中断。32i 治療中断から8ヵ月後。歯髄治療が終了し、矯正治療を再開。マウスピース型矯正装置の交換ペースを2週間にした。32j 治療再開から6ヵ月後。₁に異常は認めず、矯正治療を継続中。装置の使用を再開する際には交換スピードや移動の量等を再度検討し、できるだけ負担をかけないよう注意する。また、装置の着脱でも歯に負担がかかる場合があるため、着脱の仕方(とくに外し方)を確認し、歯髄壊死した歯に負担のかかりにくい着脱方法を指示するのも必要である。がトラブルの回避につながる。マウスピース型矯正装置では毎回装置の着脱を行うため、前歯の傾斜が強い場合には着脱方向を考えてアタッチメントの量や形を調整するのも必要な場合がある。とくに今回のような左右の傾斜が異なる前歯ではさらに負担が多くなるため、前歯の叢生が緩和されるまで取り外しがしやすいようにマウスピース型矯正装置の辺縁をカットするのもよい。法律家からのアドバイスをcheck! 133ページトラブル後の望ましい対応予防するためには……Part 3これは困った!問題症例―予防&その後の対応法―
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