これで解決! 矯正トラブル
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● ケース情報患者 19歳、女性主訴 出っ歯。口元が出ていて口が閉じにくい。診断および治療経過 叢生および左側第二大臼歯の鋏状咬合をともなう上顎前突と診断した。治療経過として上顎前歯の唇側傾斜が認められたため、₄₄を抜歯し、マウスピース型矯正装置(インビザライン®)にて治療を開始した。1日20時間以上の装置使用を指示し、7日ごとに患者自身で交換を行った。3ヵ月ごとの来院で咬み合わせと装置の適合を確認した。装置の使用状況は良好で、順調に治療は経過していった。 問題発生状況 治療開始から16ヵ月程経過した際、患者より上顎これは        困った!!126chapter8マウスピース型矯正装置による治療症例に学ぶ32a32d初診時の口腔内写真。上顎前歯の唇側傾斜が認められる。32dから、左右上顎前歯の歯軸が異なっているのがわかる。case32b32e32c32f右側前歯が急に黒くなってきたと連絡があった。痛みはとくにないが日に日に色が濃くなってきているとのことであった。状況を確認すると、変色に気づく数日前に、学校で友人の頭と前歯がぶつかった既往があった。● 問題発生後にとった対応 一度、マウスピース型矯正装置の使用を中止した。その後、一般歯科にて精査および歯髄の治療を行った。歯髄治療が終了し、一般歯科での矯正治療の再開の許可を得た後、マウスピース型矯正装置を再度作り直し、治療を再開した。その際、変色した前歯にはできるだけ負担がかからないようにアタッチメントの設置は行わず、交換も2週間毎にして歯の移動スピードを遅らせた。解説:岩田直晃32前歯が急に変色してきた

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