ジャパニーズ_エステティック_デンティストリー_2023
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A case of malpositioned dentition with congenital absence of permanent teeth treated with orthodontic treatment and bonded bridge45THE JAPANESE JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYISSUE 2023 本邦における1歯以上の永久歯先天性欠如(第三大臼歯を除く)発生率は約10%といわれており、日常臨床において高い頻度で遭遇する顎口腔領域の発育異常の1つである1。歯種別では下顎第二小臼歯にもっとも多く認められ、次いで下顎側切歯、上顎第二小臼歯、上顎側切歯の順で出現するという。 欠損側においては後方歯が近心に移動していることが多く、とくに前歯部に生じた場合、歯列・咬合・色調の不調和をもたらし、正中のズレ、顎顔面の変形など審美的・機能的問題を惹起することになる。欠損が非対称に起きていたり、 永久歯先天性欠如に対しては、おもに以下の治療方法が考えられる。A: 矯正歯科治療にて先天性欠如箇所(本来歯があるべきところ)にスペースを創出するための動的治療終了後に欠損部に補綴治療を行うB: 矯正歯科治療にて先天性欠如箇所に対して後方歯を順次前方移動して排列する。歯の形態に問題があれば修復治療で改善する。 筆者はAがベストと考える。理由として以下を挙げる。① 安定した咬合の確立が可能(良好な犬歯関係の確立)② 審美的に優れる(より自然な外観の獲得)③ 矯正歯科治療により先天性欠如箇所に限らず全体の機能的改善が得られる 矯正歯科治療によるスペース創出後には欠損補綴を行うことになるが、主たる対応方法は2通りで、インプラントかブリッジであろう。インプラントがブリッジと比較してとくに優位となるのは歯質の切削を必要としないことにある。しかし、インプラント治療部位は生体が経時的に変化しても、顎骨内に取り残されて位置的変化が起きない。そのために他部矮小歯をともなっていたりと、問題が複雑化していることも少なくない。たとえ1歯の先天性欠如であっても、顎口腔系に対して審美的・機能的にさまざまな問題を引き起こす原因となる。 多くの場合で矯正歯科治療を必要とし、欠損の回復や咬合の安定化を図る上で修復治療も必要となる。今回このような問題を抱える症例に対して矯正歯科治療および補綴治療を併用して対応したケースを提示したい。位との不調和を生じることがあり、とくに青年期の患者においては適応の可否を慎重に検討する必要がある。 一方で、歯を360°支台歯形成してその維持を嵌合力にたよる従来型のブリッジは、基本的に欠損を挟んで2歯以上の支台歯を必要とし、その歯質切削量の多さから適用をためらうことになる。そこで維持をエナメルボンディングに頼るBonded bridgeを選択すると、その欠点をミニマム化できる。とくに下顎前歯部においては、正常な被蓋が確立されていれば舌側面をまったく切削することなくノンプレップにて治療を行える利点があり、インプラント治療の優位性が減少するといえる。 Bonded bridgeは他にもさまざまな呼称があり、Mary-land bridge2やRBFPDs(Resin-bonded fixed partial dentures)3などを目にする。補綴学用語集4によるとBonded bridgeと表記されており、本稿では以下これを用いる(Bonded bridgeについてはさまざまな報告5,6があり、その予後については材質や接着力など多様な要因が関連している)。はじめに永久歯先天性欠如に対する治療方法

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