睡眠と呼吸_歯医者さんの知りたいところがまるわかり
1/6

18Chapter解説:古畑 升睡眠不足 睡眠負債とは睡眠が足りていない状態が、借金(負債)のように蓄積することです。「蓄積する睡眠不足」を「睡眠負債」と名づけ、対策の重要性が指摘されています。睡眠負債がある人は、知らないうちに仕事のパフォーマンスを落としている可能性があります。 日本人の睡眠時間は短くなり続けていることがわかっています。国民栄養・健康調査によれば、睡眠時間が6時間以下の人は2008年では全体の3割未満でしたが、2015年のデータでは4割近くに急増しています。逆に、7時間以上の人は34.5%から26.5%に大幅に減りました。過去20年間にわたり睡眠時間は減少を続けているのです。とくに40代・50代の働き盛りの年代では、睡眠時間は7時間そこそこで、週末に平日より1時間ほど長く眠ることでなんとか睡眠不足の帳尻を合わせているようです1。まさに週末に睡眠負債を返している状態です。 東北大学が、女性2万3,995人を7年間追跡して睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかりました2。 また、アメリカ・ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験です。被験者を徹夜のグループと睡眠時間6時間のグループに分け、注意力や集中力がどう変化するのかを調べました3。徹夜グループは初日、2日目と成績が急激に下降しています。脳のはたらきが急激に衰えていると推測できます。6時間睡眠のグループでは、最初の2日間はほとんど変化ありませんが、徐々日本人の睡眠時間は減少し続けている睡眠不足がダメなわけ睡眠負債を抱えて いませんか?

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る