YEARBOOK 2022 臨床に生かす! GPによる限局矯正[LOT]
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a図13a~c 矯正治療の経過(左側頬側面観).a:6か月後(.020”).b:8か月後(.019”×.025”).c:10か月後(.021”×.025”).治療開始時の₅は舌側へ転位して,さらに舌側傾斜していたため,頬側の歯頸部寄りにしかブラケットが装着できなかった.8か月後には,₅がやや頬側へ整直したため,脱落しづらいバンド冠にロウ着したブラケットに変更して歯列内への移動を行った.本症例では使用しなかったが,鋏状咬合となっている歯のオーバーバイトが大きく,水平的に正常被蓋になりづらい場合は,咬合高径を一時的に挙上するバイトプレートを使用するなどの工夫が必要である.図11a~d 矯正治療の経過(上顎左側臼歯部).a:3か月後(.016”).b:6か月後(.020”).c:8か月後(.019”×.025”).d:10か月後(.021”×.025”).現代の矯正治療では,治療の初期から中期において,形状記憶された超弾性のNiTiワイヤーを使用するストレートワイヤー法で行うことが多い.本症例においても1~3か月間隔でサイズアップしたNiTiワイヤーへと交換していった.なお,パラタルアーチに対して側方拡大する活性化を若干行い,₆の頬側への移動を促進させることも行っている.治療開始10か月で₆₇の位置異常は改善された.図12a~d 矯正治療の経過(下顎左側臼歯部).a:3か月後(.016”).b:6か月後(.020”).c:8か月後(.019”×.025”).d:11か月後(.021”×.025”).下顎においても.014”→.016”→.020”→.019”×.025”→.021”×.025”(すべてNiTi)とサイズアップして,舌側転位していた₅の頬側への移動と₇の近心への整直を行った.8か月後には,₅の頬側ブラケットが対合歯と接触して脱落したため,バンド冠にロウ着するタイプへと変更した.11か月後には,₅の捻転を改善するため,ローテーションスプリング(ティーピー・オーソドンテックス・ジャパン)を装着した.別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2022」77転位,遠心傾斜をともなう左側臼歯部の鋏状咬合に対する咀嚼機能回復のためのLOTabcdabcdbc

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