YEARBOOK 2022 臨床に生かす! GPによる限局矯正[LOT]
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 日常臨床においては,機能回復のための前処置として矯正歯科治療(以下,矯正治療)が必要な場面に遭遇することがある.たとえば歯周ポケット改善のための挺出や整直,歯軸と平行に長軸方向へ咬合力がかかるように転位歯を歯列内へ誘導,または傾斜歯を整直することなどである. また,今回提示する症例のように欠損補綴として固定性ブリッジを計画する場合,複数の支台歯の歯軸を平行にすることにより,歯質の削除量を最小限にした低侵襲の支台歯形成が行えるため,歯髄処置を回避できるメリットがある. GP(一般開業医)が矯正治療を行う場合,矯正力をAbout the Author矯正治療,学びの遍歴岡山県開業 石井歯科クリニック連絡先:〒703‐8275岡山県岡山市中区門田屋敷2‐2‐10Q.矯正治療をどうやって学んだ? 宮島邦彰先生に師事し,海外研修に参加.各種マルチブラケット治療の講習会を受講.Q.矯正治療に本格的に取り組むようになってからの年数は? 約25年.【略歴】1988年 徳島大学歯学部卒業後,岡山大学歯学部歯科補綴学第二講座(現咬合・有床義歯補綴学分野)入局1989年 岡山大学歯学部歯科補綴学第二講座助手1992年 水島中央病院歯科医長(岡山県倉敷市)1994年 石井歯科医院開業(岡山県岡山市)2000年 石井歯科クリニックに改名2008年 岡山大学歯学部歯科麻酔科臨床研修医【所属学会・勉強会】日本矯正歯科学会,日本成人矯正歯科学会認定講習会Ⅱ期卒,日本口腔インプラント学会専門医,日本顎咬合学会認定医,日本包括歯科臨床学会,日本補綴歯科学会,日本ティップエッジ矯正研究会認定医・理事,ODC(OkayamaDentistsClub)主幹・代表Q.矯正治療において拠り所としているあるいは参考にしている論文・書籍は?発揮させた時に各歯がどのような作用様式で移動するかを十分理解しておかなければいけない.とくに,治療計画の段階でどのような固定源を利用するのか,そして固定値不足が生じた場合の固定源の強化方法を準備しておくことは,LOTであっても最重要事項といえる. 良好な結果が得られるか否かはGPの知識やスキルに影響するため,トラブルが起きた際に相談できる矯正専門医が身近にいると心強い.良質かつ予知性の高い機能回復を目的に行う矯正治療は,う蝕治療や歯周治療と並んだ“基本治療”と考えて有効活用するべきである.多数歯のLOT72別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2022」石井彰夫①ProffitWR.新版プロフィトの現代歯科矯正学.東京:クインテッセンス出版,2004.②McNamaraJA,BrudonWL(著),宮島邦彰,黒田敬之(監訳).OrthodonticandOrthopedicTreatmentintheMixedDentition.混合歯列期の矯正治療.東京:東京臨床出版,1997.はじめに:一般歯科臨床における矯正治療とGP矯正の有用性転位,遠心傾斜をともなう左側臼歯部の鋏状咬合に対する咀嚼機能回復のためのLOTPART3

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