DHとDRのための歯周ポケット鑑別ガイド
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 歯科衛生士になって22年、今まで一番長くメインテナンスで拝見した患者は16年です。長期的にメインテナンスを行っていると、ペリオやカリエスのコントロールを徹底しているにもかかわらず、急発症状を起こすケースに遭遇します。このようなケースに出会うたびにさまざまな書籍を読み、デンタルエックス線写真・歯周組織検査・口腔内写真・患者の訴えと照らし合わせて、原因の追及を繰り返しました。 そんななかで目に止まったのが「エンド・ペリオ病変」です。歯科衛生士業務と深く関わりがある分野であるにも関わらず、歯科衛生士向けに書かれた書籍がなかったことから、平井友成先生、クインテッセンス出版株式会社の小川悦子様にご協力を賜り、月刊『歯科衛生士』で歯科衛生士向けの「エンド・ペリオ病変」の特集記事を執筆させていただきました。 その後、歯周病と見誤りやすい病変として、下野正基先生に病理の視点からコメントをいただきながら「セメント質剥離」と「咬合性外傷」について、大川敏生先生に多くの臨床ケースを提示していただきながら「歯根破折」について、それぞれ共著にてご執筆いただきました。 いずれの病変も、歯科医師でも鑑別が非常に難しいと言われているもので、歯科衛生士が鑑別をするのはより困難を極めます。よって、本書は読者の歯科衛生士の皆様が「深いポケットの原因がわからない」と迷いが出たときに手に取っていただけると幸いです。各パートでは、Q&Aを設けていますので、臨床に即アウトプットできる内容になっております。 歯科衛生士が患者の変化にいち早く気付き、歯科医師にバトンをつなげられますように。歯科医師と歯科衛生士の架け橋となるような書籍になることを願っています。萬田久美子はじめに3

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