c症例20c 電気歯髄診断を2に実施した.b症例20b 術前.2と1の根尖部に大きな透過像が認められた.a症例20a 患者は9歳,男子.初診時.2の根尖部を中心に歯肉腫脹が認められた.1の一部分が欠けたことから,コンポジットレジン充填処置を受けた.2日前に突然右側前歯部の歯肉が大きく腫れたので,若年者でもあり,専門的治療が必要ではないかとのことで,母親が同伴して紹介来院した. 症例20 大きな根尖部病変を有する幼若永久歯症例80【大きな根尖部病変を有する幼若永久歯への対応/若年者の問診の注意】幼若永久歯の歯髄診断は,成人の歯根完成歯と大きな違いはない.ただし,若年者から問診で得られる情報には限りがあり,注意が必要である.成人と比較し,幼若永久歯の疼痛は一般的に鈍く,部位の特定にも苦労することが多い.保護者からの詳細な情報(いつ,どこで,どのような状況で,どんな治療を受けたか)を得ることが非常に重要である.患 者 9歳,男子主 訴 上顎右側前歯の歯肉に腫れ現病歴 2年前に階段を踏み外し,上顎右側前歯を強打し,直ちに近所の紹介歯科医院を受診した.その際に,攻略の指針そこで,母親の許可を得て切削試験を実施したところ,1に生活反応がなく失活歯と断定した.初診時に緊急処置として,患歯の舌側面から髄室開拡を行ったところ,強烈な腐敗臭をともなう多量の根管滲出液が排出された.感染根管治療を4回ほど行い,約1か月半後に#80のガッタパーチャポイントを主ポイントで側方加圧根管充填を終了させた.その後,7年間経過観察を行った(症例20f~k).症例説明初診時,自発痛は訴えていなかったが,視診により2の根尖部を中心に大きな歯肉粘膜の腫脹が観察された(症例20a).また,デンタルエックス線写真から,2と1の根尖部を包囲するようにびまん性の大きな透過像が観察された(症例20b).電気歯髄診で11と2を診査したが,患者から得られる反応にバラツキがあり,正確な歯髄生活反応は確認されなかった(症例20c).
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