症例図4a1, 2 Type Ⅰ.陥入根管が歯冠部に限局している.図4b1, 2 Type Ⅱ.陥入根管がエナメル‐セメント境を越え,歯根内部にとどまっている.図4c1, 2 Type Ⅲ.陥入根管が歯根を貫通し,歯周組織に開口している.1 経過不良の歯内歯(TypeⅢ)の症例10b1b2a1c1a2c2【歯内歯の解剖学的形態】 複雑狭小な歯内歯の根管系を感染根管治療するには,その解剖学的形態の特徴を熟知していなければならない.歯内歯(陥入歯)の知識なしでの根管拡大・形成は,医原性事故(穿孔など)を起こし,最終的に病変を悪化・増大させることになる.矢状面観前頭面観陥入根管矢状面観陥入根管矢状面観陥入根管前頭面観前頭面観患 者 16歳,女子主 訴 上顎前歯の歯肉の赤い穴から膿が出る.現病歴 約半年前より某歯科医院で2の感染根管治療を行っていた.その際,歯の内部が破壊されて複雑化して,攻略の指針根管治療が難しいと歯科医師から説明を受けた.しかし,赤い孔状のサイナストラクトが消えないことから,大学歯科病院を受診した. たところ,血液が混在した多量の滲出液が排出した.来院2回目に患歯の根管拡大を終了させ,以後,根管洗浄を行いながら経過観察したが,一向に根管滲出液の減少は認められなかった.その際,主根管と陥入根管が結合するような状態での穿孔部位も確認された.約3か月経Oehlers の歯内歯の分類法(1957年)1症例説明術前エックス線写真で複雑な根管形態が認められ,根尖相当部にもやや限局性の小豆大の透過像が観察された(症例1b).初診時にラバーダム防湿下で仮封材を除去し
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