c図2a~c ₅部へのインプラント治療。最終補綴を想定したサージカルガイドを装着し(a)、埋入後ただちに口腔内スキャナーで印象採得してプロビジョナルクラウンや最終上部構造を製作することもできる(b、c)。e図3a~e 患者は2021年12月、インプラントの上部構造のガタツキと周囲歯肉からの出血を主訴に来院した(a)〔2007年10月、セメント固定式インプラントクラウンを装着〕。上部構造を外すことができず、削って撤去し、インプラント周囲を清掃した(b、c)。インプラント自体の骨接合に大きな問題がなかったことから、通法どおり印象採得を行い、スクリュー固定式の上部構造に変更させていただき再製作を行った(d、e)。baabcd25デジタル時代のインプラント治療1)セメント固定式で起こりがちなトラブル 当初、インプラント手術は、骨量や骨形態の良好な位置や角度で、インプラント体が安全に埋入されることに主眼が置かれていた。そのため、上部構造に適切な位置や角度と異なることも少なくなく、アバットメントでの角度補正を行い、上部構造の設計・装着が行われていたこともあった。 このような場合、咬合力がインプラント長軸と異なる場合も多く、上部構造の脱離やセラミックス破折等の問題や、セメント材の取り残しから残留セメントがインプセメント固定式のトラブル ─上部構造のガタツキと歯肉からの出血─1.セメント固定式の利点と問題点ラント周囲炎等の原因となることもあった(図3)。 また、仮着用セメントを用いる方法もあるが、歯冠高径が低い場合では脱離することが多く、さらに、最終上部構造の装着後、経年的な顎位の変位や咬合関係の変化によりアバットメントスクリューの緩みから上部構造のガタツキ、セラミックスの破折などの問題が起こり、結果的に上部構造の修理・再製作を余儀なくされることも少なくなかった。 筆者は、長期の予後とその経験から、近年では臼歯部のみならず、前歯部においても、長期予後を踏まえて修理や再製作しやすいように、できる限りスクリュー固定での補綴を行っている。Chapter 6 スクリュー固定とセメント固定
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