24(咬合面)補綴用スクリューインプラント体図1 スクリュー固定式とセメント固定式の構成。セメント固定式では、咬合面にアクセスホールが出ないことから咬合関係を適切に与えることができる。表1 スクリュー固定式とセメント固定式の利点・欠点を示す。上部構造アバットメントスクリューアバットメント(咬合面)Part 1 インプラント補綴で知っておくべき基礎知識Chapter6スクリュー固定とセメント固定はじめに自由度があり、インプラント体に支台歯形状のアバットメントをスクリューで固定し、クラウンを被せるため、咬合関係を適切に与えることや、審美的上部構造を製作することができる。反面、残留セメントからのインプラント周囲炎、仮着材料を使用したときに脱離しやすい、仮着であるにもかかわらず外すことができないという問題もある。 一方、スクリュー固定式には、インプラント体にクラウンを直接、スクリューで留める方法と、スクリュー固定用のアバットメントを介して、その上部にクラウンをスクリューで留める方法がある。しかしインプラントの長軸にアクセスホールが現れるため、咬合の適切な関係や審美的修復が難しいという問題もある(図1)。 そのうえで、近年のインプラント治療では、最終補綴を想定してCTをもとにサージカルガイドを製作し、外科処置を行い、インプラント埋入後ただちに口腔内スキャナーでデジタル印象を採得し併用することで、プロビジョナルクラウンを含め上部構造が製作できるようにもなっている(図2)。 本稿では、スクリュー固定とセメント固定について解説する。・咬合接触を適切に与えることができる・審美性に優れる・骨形態や埋入方向に大きく左右されない・残留セメントから、感染・インプラント周囲炎を起こす危険性がある・装着後の咬合変位・上部構造の修理に対応できな・アバットメントの緩みが起こっても簡単に対応できない・仮着が難しい歯科医師:小川勝久 これまで、インプラント上部構造の固定様式には、大きく分けてスクリュー固定式とセメント固定式と呼ばれるものが応用されてきた(表1)。 セメント固定式では、骨形態や埋入方向にある程度のスクリュー固定式とセメント固定式の構成スクリュー固定式とセメント固定式の利点・欠点・残留セメントの心配がない・いつでも容易に着脱可能なので、メインテナンス利点や修理が容易である・歯冠高径が比較的低い場合でも適応できる・咬合面や審美領域にアクセスホールが出ることがある欠点・骨形態やインプラント埋入方向から限定されるため、骨移植等が必要な場合がある・構造が複雑になり治療コストがかかる場合もあるスクリュー固定式いセメント固定式スクリュー固定式セメント固定式
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