歯科技師・歯科技工士のためのゼロから始めるデジタル時代のインプラント補綴
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b図4a、b 良い例。理想的なインプラント周囲軟組織。インプラントを安定した厚い辺縁歯肉でサポートしている。aab図5a、b 悪い例。プラットフォームからのサポーティングカントゥア(オーバーカントゥア)により、図4と比べると唇側歯肉のボリュームが少ない。bレスカントゥア(コンケイブ)aオーバーカントゥア(コンベックス)図3a、b 本来なら歯肉縁下形態をオーバーカントゥアに設定すると歯肉が根尖側方向にリセッションしてしまうが、簡潔に説明するために歯肉縁が同じ位置であると仮定している。同じ高さに設定した点線の位置で歯肉の幅を見てみると、レスカントゥアにした補綴形態の方が歯肉の厚みを確保できていることがわかる。19 プラットフォームからの立ち上がり(歯肉縁下形態)は可及的にレスカントゥア(コンケイブ)にするべきである。そのようにすることで、歯肉の厚みを増すことができる。たとえば、歯肉縁下形態をオーバーカントゥアにした形態とレスカントゥアにした形態を比較してみる。簡潔に説明するために図3のとおり、2つの歯肉の位置オーバーカントゥアにするよりもレスカントゥアにした補綴形態の方が歯肉の厚みを確保できる インプラント補綴における歯肉縁下のカントゥア形態は、抜歯前の天然歯のカントゥア形態を模倣するべきではない。天然歯とインプラントは違い、インプラ ここで、歯肉縁下部の歯肉の性質について解説する。この部分の歯肉はインプラント体(上部構造)が生体を貫いていることになるため、生体には常にそれを治癒しようとする働きが起こっていると考えられる。つまり、粘1.正しい歯肉縁下形態2.なぜプラットフォームからの 立ち上がりは細くてもいいのか?が同じであると仮定して考察していく。同じ高さに設定した点線に注目してほしい。その位置の歯肉の幅を見てみるとレスカントゥアにした補綴形態の方が歯肉の厚みを確保できていることがわかる(図4)。よって、サブクリティカルエリアをオーバーカントゥアにした補綴装置を製作すると歯肉の厚みは薄くなり、歯肉は退縮方向へと向かう(図5)。それと同時にプラットフォーム付近の歯槽骨が吸収する可能性も出てくる。ントは外形円状のプラットフォームから歯冠部への移行を何らかの補綴的手法にて対応しなければならない。膜貫通部の歯肉には常にその部分を閉鎖しようとする力がかかっている。サブクリティカルエリアに関しては常に創傷の治癒の原理が働いていると考えられるため、無理に圧をかけなくてもその部分は自然と歯肉が閉鎖してくる(図6)。よって、サブクリティカルエリアを最終上部構造で圧迫することはリスクの方が大きいため、その部分を内側から押そうとしてはいけない。Chapter 5 適切なカントゥア

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