保険の審美修復を極める
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図③-2 ₁の口腔内写真。冷水痛や打診痛は認められず、生活反応を示した。図③-5 水洗・乾燥し、白濁を確認した。図③-6 接着には2ステップボンディング材、クリアフィル®メガボンド2(クラレノリタケデンタル/モリタ)を用いた。図③-3 ₁のCRおよび₁の感染歯質を除去し、外形線上にべベルを付与した。落とし穴症例に学ぶ❸外傷によりCRが脱落したケース49患者:63歳・男性主訴:転んで前歯が欠けた。痛みはないが、見た目が気になる。来院に至るまでの経緯: 16年間メインテンスで通院中の患者が転倒して前歯が欠けたとのことで来院した(図③-1)。所見・検査: 図③-2に₁の口腔内写真を示す。冷水痛や打診痛は認められず、生活反応を示した。また口唇部の裂傷や₁以外に歯が破折した所見は認められなかった。さらに₁近心部にはう蝕が認められた。診断: 診査の結果、転倒時CR部を直接床にぶつけたのではなく、オトガイ部を強打した際に、₁に過大な咬合力がかかり、充填済のCRの一部が破折したと考えられた。治療: ₁のCRおよび₁の感染歯質を除去し、外形線上にべベルを付与した(図③-3)。今回のCRの脱落は通常の咬図③-1 16年間メインテナンスで通院中の患者が転倒して前歯が欠けたとのことで来院した。図③-4 エナメル質部にセレクティブエッチングした。合力の負荷によるものではないため、接着を高めるための幅の広いべベルの付与は必要ないと判断した。そこで通常のべベルの付与にとどめた(42頁ポイント5参照)。 エナメル質部にセレクティブエッチング後(図③-4)、水洗・乾燥し、白濁を確認した(図③-5)。ボンディング処理には接着力が1ステップボンディング材より高い2ステップボンディング材、クリアフィル® メガボンド2(クラレノリタケデンタル/モリタ、図③-6)を用いた。図③-7のようにプライマーを20秒間処理し、弱〜中圧のマイルドなエアブローにより(5秒以上)、乾燥させた。その後、図③-8のようにボンドを塗布し、マイルドなエアブローでボンディング層の厚みを均一にし、3秒間光重合した。本製品は高活性なラジカルが多く発生するため、短時間の光照射による重合が可能となる。 今回は1つのシェードで歯質の色調に調和するクリアフィル® マジェスティ® ESフロー Universal(クラレノリタケデンタル/モリタ、図③-9)を用いた。本製品の色調構成は図③-10に示すようにメインシェード(U)とアシChapter 2 保険の審美修復 その実際とポイント 2.前歯のCR審美修復を極める

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