保険の審美修復を極める
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 図2-1-4に示すように、歯と下顎位の左右的安定のための咬合接触にはA、B、Cコンタクトがある。とくにBコンタクトは咬合高径を維持するために重要となるので、できるだけ残存させる。Bコンタクトにより歯軸方向にしっかりと力がかかるため天然歯で接触させることができれば、その有意性は高い。2BACポイント1ポイント2図2-1-1 ₇近心隣接面にう蝕が認めれた。冷水痛などの自覚症状は認められなかった。図2-1-4 バーティカルストップによる歯と下顎位の左右的安定のための咬合接触(A、B、Cコンタクト)。20 咬合紙により印記された咬合接触点のなかで、咬頭嵌合位の安定と維持に寄与する部分をできるだけ残存させる。残存させるエナメル質の咬合接触部位は、基本的に隣在歯の接触点との連続性を参考にする(図2-1-1~3)。さらにそれぞれの接触点の機能を考慮し、残存させる優先順位を決定する。図2-1-2 ₇₆のデンタルエックス線写真。※図2-1-1~3,6,16~19,21,23,24,27~30,33~40は同一症例。 顎口腔系の治療においては、咬頭嵌合位の安定と維持が重要な要素の1つとなる。すなわちバーティカルストップ(臼歯がもつ口を閉じたときに必要以上の噛み込みを防ぐ役割)により、歯と下顎位は「左右的安定」と「前後的安定」の2つを得ることができる13。図2-1-3 咬合接触点の印記後の₇。Aコンタクト:上顎の頬側咬頭内斜面と       下顎の頬側咬頭外斜面の       接触Bコンタクト:上顎の舌側咬頭内斜面と       下顎の頬側内斜面が作る       接触 Cコンタクト:上顎の舌側咬頭外斜面と       下顎の舌側咬頭内斜面の       接触健全なエナメル質の咬合情報を活かした外形線を設定するバーティカルストップによる咬合接触で歯と下顎位の左右的安定をはかるきれいで長持ちさせるためのポイント14

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