インプラント周囲炎はErYAG Laserでこう治す!
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a図5-12a〜c 過度にオーバーカントゥアなエマージェンスプロファイルを与えた補綴装置に歯肉退縮を生じた場合,清掃が著しく困難となる.アバットメントを外すと,その周囲に多量の食物残渣を認めた(a).アバットメントの歯肉縁下相当部に多量のプラークを認める(b).30°を超す過度なエマージェンスプロファイルでMBLを認める(c).本症例は,エマージェンスプロファイルだけでなく,アバットメントの材質,喫煙習慣,経年的な頬側の骨吸収など,いくつかの要因が重なり,発症したと推測している.セメント固定式利点・咬合面にアクセスホールがないことで,咬合接触点を回復できるスクリュー固定式利点・着脱が容易1mm以上の場合では,セメントの取り残しが必ず生じるため,既製アバットメントでなくカスタムアバットメントの製作が望ましいとされている. また,仮着セメントの利用によりセメント残留に対応する方法もあるが,特定のインプラントに集中的に咬合力がかかる力学的問題や脱離のリスクもあるため,注意が必要と報告されている. 一方,近年主流であるスクリュー固定式は,セメント残留の問題が解消されること,着脱の簡素化が大きな利点である. ただし,製作方法によっては,コンタクト調整や咬合調整に時間を要すること,最終トルクを締結した際の沈みこみによる咬合接触点の喪失のおそれ,連結補綴時にはより高いレベルのパッシブフィットが要求されることなどを忘れてはならない.②過度にオーバーカントゥアなエマージェンスプロファイル この項目に関しても,インプラント周囲炎のリスクファクターとしてのエビデンスはないが,BLインプラントを使用し,アバットメントの立ち上がり角度が30°以上の場合,インプラント周囲炎の発生が多いことが報告されている18. 術者は,インプラント埋入前から清掃性の高い最終補綴装置のカントゥアをイメージし,適切なインプラントサイズ,埋入深度,そしてアバットメント図5-11 セメント固定式とスクリュー固定式の利点と欠点.bcインプラント周囲炎はEr:YAG Laserでこう治す!・細かな作業誤差をセメント層で補償できる可能性がある欠点・着脱が困難(とくにアバットメントスクリューのみに緩みが生じた場合)・セメント残留・セメント残留の問題がないこと欠点・製作方法によってはコンタクト調整や咬合調整に時間を要する・経年的にチタンベースとジルコニアの界面での接着不良や破損が生じることが懸念されている・最終トルクで締結した場合の沈みこみにより咬合接触が弱くなる可能性がある・補綴的誤差を補償するセメント層が無いため,より精密さが要求される症例MBLからインプラント周囲炎を発症した症例372

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