図1a~c 寿谷によるEnvelope of Discrepancy(参考文献1より引用改変).図1a図1b図1c図2 加速矯正の分類.外科処置を併用する方法は列記したもの以外にサージェリーファースト法も含まれる.外科処置を併用しない方法は薬物によるもの,補助装置によるもの,矯正装置によるものに分類することができる.モディファイドコルチコトミー法を用いたスピード矯正―成人叢生症例へのアプローチ矯正治療による歯の移動限界整形外科的治療と矯正治療の組み合わせコルチコトミー手術と矯正治療の組み合わせ顎矯正手術と矯正治療の組み合わせ外科処置を併用しない方法・Pharmacological VD3,PTH,PGEs,Throxin・Mechanical Lasers,LED,Vibration・Orthodontics lowfriction,digitaldriven臨床家のための矯正YEARBOOK 2022矢状面上顎中切歯矢状面下顎中切歯外科処置を併用する手法・Osteotomy・Corticotomy・Corticision・Piezocision・MicroOsteoPerforation199Envelope of Discrepancyして改変され,それらは低侵襲かつ効果的な手法として多数の臨床報告が行われている.また,顎矯正手術が必要とされる症例ではサージェリーファースト法6も選択される.非外科的手法では振動やレーザーを応用した補助的な器具の併用による歯周組織の代謝活性の亢進,ローフリクションブラケットやデジタル矯正支援システムによってメカニクスが効率化するような工夫が行われている. 本稿では当院で行っているモディファイドコルチコトミー法による成人の叢生症例について紹介する.モディファイドコルチコトミー法は2つのテーマをもつ.1つ目は加速矯正としての治療期間の短縮,2つ目は歯周組織の強化としてのフェノタイプモディフィケーション(Phenotype Modification Therapy,以下PhMT)7,8である.また,当院ではこの2つのテーマの実現性を向上させるためにデジタル矯正支援システムであるSureSmile(デンツプライシロナ)を併用している.すなわち,モディファイドコルチコトミー法はこのような加速矯正の外科的・非外科的手法を組み合わせることで安全性と低侵襲性を高めた手法である. 本症例は“スピード矯正プラン”として契約した患者である.スピード矯正は共著者の深澤が「スピード矯正とは,歯を削ったりせず歯を動かすことによ
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