図13 治療開始8か月後の口腔内写真.164図14 治療開始13か月後の口腔内写真.特集 成人の叢生を考える 第Ⅱ部 メーカーによる商品紹介&臨床応用臨床家のための矯正YEARBOOK 2022し,犬歯・側切歯の遠心移動を行いながら切歯の配列スペースを確保した.その後,中切歯遠心に空隙が生じているのが確認された.下顎はレベリングを終了し,0.016×0.022インチステンレススチールワイヤーを装着し,犬歯ならびに小臼歯の遠心移動を開始した(図12).側切歯ならびに犬歯の遠心移動が十分行われ,側切歯の配列スペースが獲得されたため,同歯にもリンガルブラケットを装着し,レべリングを開始した(図13).その際,ビートルの前方サークルと側切歯を結紮線で固定し,側切歯が唇側にフレアーアウトするのを防止した.また,エクステンションアームを変更し,犬歯にはごく弱い力で遠心への牽引力を与え,後戻りを防止した.下顎は犬歯ならびに小臼歯の遠心移動を継続している. 治療開始13か月後,上顎前歯はエンマスリトラクションを開始し,下顎は前歯部にスペースを獲得したので,レベリングを開始した(図14).上顎中切歯はコンポジットレジンで形態修復した. 通常,前歯のエンマスリトラクションの際,図15のように抵抗中心を定め,牽引する方法が推奨されている15.しかし,抵抗中心の同定を誤った場合,期待に反した歯の移動が起きてしまう.これを防ぐ
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