病気をもった高齢者が歯科に来院されたときに読む本
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74 歯科治療で一般的に用いられる局所麻酔薬には、カテコールアミンの一種であるアドレナリンが含まれており、血圧上昇をきたすことがある。特に動脈硬化の進行した高齢者では、血圧の変動が大きい。 血管収縮薬を含有している歯科用リドカインカートリッジを使用する際は、 血管収縮薬の希釈や分割投与を検討する 歯科治療中は、外因性/内因性カテコールアミンにより血圧が上昇しやすい状態です。カテコールアミンとは、副腎髄質から分泌されるホルモンの総称で、アドレナリン、ノルアドレナリンなどがあり、心収縮力を増加させることで血圧を上昇させます。 外因性カテコールアミンとしては、局所麻酔の中に含まれる血管収縮薬、内因性カテコールアミンとしては、歯科治療時の種々のストレスによる交感神経の活性化が挙げられます(図1)。外因性カテコー ルアミンへの対応として、血管収縮薬含有局所麻酔薬の使用量や投与方法に工夫をする必要があります。 日本国内では現在、3種類(商品名として7種類)の歯科用局所麻酔薬カートリッジが用いられています1(図2)。塩酸メピバカイン(スキャンドネストカートリッジ®)以外の局所麻酔薬には血管収縮薬が配合されています。血管収縮薬配合の利点として、 実際に病気をもったご高齢の患者さんの歯科治療を実施するにあたり、特に注意したいのが高血圧症患者さんの局所麻酔、抗血栓療法患者さんの観血的歯科治療です。また、一般歯科診療所で処方される頻度が比較的高い抗菌薬の処方ガイドラインと、高齢者において注意したいポイントについても理解しておくと安心です。歯科治療と血圧の関係高血圧症患者における局所麻酔使用の注意点ここがポイント高血圧症患者への安全な局所麻酔のために有病高齢者の歯科治療

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