34 創傷治癒遅延や免疫力低下による局所感染に注意し、感染対策を十分に行う。感染した場合は重篤な歯性感染症につながることがある。 血糖コントロール状況だけではなく、糖尿病性腎症の可能性を考え腎機能障害の有無についても治療担当医へ問い合わせを行う。 空腹時の歯科治療は避けるとともに、低血糖発作に対応できるようにしておく。 糖尿病とは、血糖値の上昇をきたす代謝性疾患です。2016年の国民健康栄養調査では、糖尿病有病者は1,000万人、予備軍をあわせると2,000万人を超えるとされており、その数は年々増加傾向にあります。 糖尿病は、インスリンの作用不足による慢性的な高血糖状態を呈する代謝疾患群の総称です。インスリン分泌量の低下やインスリン抵抗性の亢進により細胞内への正常なブドウ糖の取り込みができず、血糖値が上昇します。慢性的な高血糖はさまざまな全身合併症の原因となることから、歯科治療に際しては注意が必要です。インスリン依存型(1型)とインスリン非依存型(2型)、他の疾患や薬剤に起因するその他の糖尿病、妊娠糖尿病に分類されます(図1)。日本の糖尿病患者は、約90%がメタボリックシンドロームに起因する2型糖尿病患者とされています。 近年、歯周病と糖尿病の関連が明らかになり、歯科と糖尿病内科の連携が強化されてきています。糖尿病患者が歯科医院を受診する頻度は今後も増加することが予想され、私たち歯科医療者も糖尿病患者の口腔内だけに関心を向けるのではなく、その病態や合併症に対する知識をもって診察にあたる必要があります。糖尿病とは?病態・症状糖尿病 ─創傷治癒遅延と低血糖発作に注意─ここがポイント糖尿病
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