2ABAABBAABB第2章 目からウロコの「セファロ分析」FHFHFHFHFH図54a 骨格1級・正常咬合のシェーマ.図54b 骨格Ⅱ級であっても,咬合平面が後ろ上がり(Steep)になることにより,臼歯関係はⅠ級となることができる.図54c 骨格Ⅲ級であっても,咬合平面が後ろ下がり(Flat)になることにより,臼歯関係はⅠ級となることができる. また,咬合平面の傾斜は「臼歯関係」とも深いかかわりをもっています. 標準的な咬合平面の傾斜(FH to Occlusal 9°)をもった骨格Ⅰ級・臼歯関係Ⅰ級の正常咬合を図54a のように表し,これを元に骨格Ⅱ級,骨格Ⅲ級における“咬合平面の傾き”と“臼歯関係”について,考えてみましょう. 通常,骨格Ⅱ級では上顎骨に対して下顎骨が後方にある(A点に対してB点が後方にある)ため,そのままの咬合平面の傾きでは,臼歯関係はⅡ級となっています(図54bの上). ところが,この咬合平面を通常よりも後ろ上がり(Steep)にしたらどうなるでしょうか? 図54bの下のシェーマが示すように,A点,B点の前後関係はそのままであるにもかかわらず,上下歯列はⅠ級となることができるのです. “逆もまた,真なり”です.骨格Ⅲ級の顎間関係において咬合平面の傾きが標準的である場合,臼歯関係はⅢ級であるはず(図54cの上)ですが,図54cの下のように咬合平面が後ろ下がり(Flat)になることにより,歯列はⅠ級となることができるのです. 実際に矯正診断を行っていると,このような「上下顎骨の前後関係」と「臼歯関係」が一致しない症例にしばしば遭遇します.骨格がシビアなⅡ級であるにもかかわらず臼歯関係がⅠ級であったり,骨格が Ⅲ級であるのに臼歯関係がⅡ級であるようなケースです.そのようなときには,「咬合平面の傾きがイレギュラーでないか」を疑ってください.「咬合平面の傾き」がイレギュラーであることが,「上下顎骨の前後的なズレ」を補正している場合や,逆にひどくしている場合がよくあるからです.79「咬合平面の傾き」が変わると「臼歯関係」が変わる?
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