図解矯正歯科治療が面白いほどわかる本
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21…抵抗中心(CR)図37 歯の抵抗中心に力を作用させることができれば,歯は平行に移動する(歯体移動).図38 歯冠を押すと,歯は抵抗中心のやや根尖側を中心に回転する(傾斜移動). “矯正の診断に必要な基礎知識「10項目」”を学んだ皆さんの頭の中には,すでに矯正学の幹ができているはずです.ここからは,その幹に枝を増やし,葉を付けていく作業に入っていきましょう.つづいてお話しするのは,「歯の移動」についてです.  田んぼに突き刺さっている杭を想像してください. 歯の“移動に対する抵抗の中心(以後,「抵抗中心」と呼びます)”は歯槽骨内の歯根の中央あたりに存在するといわれています.もし,この「抵抗中心」に矯正力をかけることができたら,歯は歯軸を保ったまま平行に移動することになります(歯体移動)(図37). しかし実際,歯槽骨内にある抵抗中心に矯正力を これは,ちょうど歯槽骨に歯が植わっている状況によく似ています. 矯正治療におけるさまざまな歯の動きは,田んぼに突き刺さっている杭を動かすことに置き換えて考えると理解しやすいのです.かけることは難しく,多くの場合,私たちは歯冠に矯正力をかけます.この場合,歯は抵抗中心のやや根尖側(図38の青丸)を中心に回転することになり(この中心を回転中心といいます)20,歯冠は傾斜し,根尖はその反対方向に移動します(傾斜移動)(図38).33「傾斜移動」と「歯体移動」について歯の移動についての基礎知識

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