歯科医師・歯科技工士のための 最新ジルコニア修復
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現在のジルコニアレストレーションの設計とシェーディングの考えかたジルコニアディスクの選択しかし、カラーリングリキッドやエクスターナルステインの技術は術者によって個人差が生じやすく、カラーリングリキッドは浸透によるジルコニアの強度低下なども懸念されることから、弊社ではジルコニア本来の色調を活かすことを優先している。とはいうもののインレーにおいては天然歯における咬合面内斜面の比較的透明感の強いエリアにマージンを設定する場合が多く、天然歯に比べて不透明度が高くなって歯質との境界が明確になってしまう。そのため本症例では、歯質への透明感を移行的にすることを目的として、マージン付近へ後退色系(ブルー、グレー、バイオレット)のカラーリングリキッドによるインフィルトレーションを行った(図20)。 スキャン精度が向上し、ソフト上でさまざまなオプションを活用してデザインしたとはいえ、必ずしも無調整でフィットするとは限らない。とくにマージンライン171877が鋭角に突出している箇所はスキャン時のエッジロスが起こりやすく、ロスした箇所はフィット時に早期接触してくる(図21)。そのためシンタリング後に内面調整を行わなければ、補綴装置が口腔内に収まらず適合不良となる。模型を観察し、マージンラインに突出している箇所がある場合は、まず早期接触を除去することがキーポイントとなる(図22)。この際、マージンを薄くする前のマージン厚さが確保されたままの状態で早期接触を削除することでチッピングを防止できる。 また、IOSデータから製作して石膏模型がない場合に3Dプリント模型などを製作して調整する方法もあるが、フィットについてはスキャンデータ、つまりデザインを行った3Dデータがそのままプリンティングされるため、この3Dプリント模型で内面調整を行う必要性は低いといえる。しかし、模型の使用用途によってモデルビルダーソフトを使用して3Dプリント模型をプリンティングすることにより、作業用模型としての価値が得られる(図23)。Part1-5図17 Ceramill Zolid FX multilayer。図18 上段はCeramill Zolid FX multi-layerのA0〜A4ディスクからミリングし、グレージングのみを行ったもの。下段はVITAクラシカルシェードガイドとの比較。図19 Digital Color MeterによるCeramill Zolid FX multi-layer A4のカスタムシェードタブと天然歯の比較。図20 未焼結状態でカービング後、Colour Liquid Prettau Aquarell(Zirkonzahn,トーシンデンタル)によるインフィルトレーションを行った。9.フィットIOSとモデルスキャナーの3Dデータの比較とジルコニアインレーの製作ステップ

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