臨床に活かす! デンタルエックス線写真
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115不透過性が亢進した骨梁像 不透過性が亢進する原因 ・ 細菌感染による炎症(慢性歯周炎や根尖性歯周炎骨梁は歯槽骨梁ともいい、歯槽骨の内部にある海綿骨の、多孔質の構造のことを指す。デンタルエックス線写真では、歯根や根尖周囲に広がる、白い網目状の像として観察される。歯周病に罹患した歯周組織のデンタルエックス線像において、骨梁像の不透過性が全顎的に亢進している症例では治療に対する歯周組織の反応が悪く、回復力が低い可能性があること11, 13や、初診時にびまん性の不透過像が見られる場合、炎症とともに力のコントロールも徹底されなければ、歯周病が改善しないことが示唆される15。健康な骨梁像は、全体的に乱れがなく均一な透過性を保つ。部位や個人単位による骨梁像の濃淡の差は、歯周疾患がなく全体に均一な像を呈していれば解剖学的特徴や個体差によるものであることが多い。しかし部分的に不透過性が亢進した場合は、炎症の存在を疑うべきである。何らかの炎症に反応すると、正常像と比較して、白く霧がかかったような不透過像を呈する。など)・ 歯にかかる力による炎症(咬合性外傷など)骨梁像は歯の欠損や慢性炎症、歯にかかる力によって変化することが知られている。根尖病変や咬合性外傷、インプラント周囲炎など、歯根、あるいはインプラント体周囲の炎症に反応して骨梁像の不透過性が亢進する16-18。さらに慢性歯周炎と咬合性外傷の両方が複雑に絡み合うことにより、骨梁像の不透過性が亢進する可能性も報告されている19。それぞれの原因に対する治療により、骨梁像が正常へと回復していくエックス線像は、治癒の目安とすることができる。①健康な骨梁像②不透過性が亢進した骨梁像骨梁像のデンタルエックス線像の特徴とポイント

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