インプラント YEARBOOK 2022
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公益社団法人 日本口腔インプラント学会理事長 本書『インプラント YEARBOOK』を公益社団法人日本口腔インプラント学会が監修するようになって3年目を迎えました.毎年,学会から読者へのメッセージを総説論文(巻頭特集)で紹介しています.今回は,九州大学の鮎川保則教授と松﨑達哉先生に「臨床医が知っておくべきインプラント‐アバットメントコネクションの知識」というタイトルで補綴処置に深く関係する記事を寄稿していただきました.読者におかれましては,日々の臨床の参考にしていただければ幸いです. さて,わが国では1960年代から先駆者により欧米のインプラント治療が導入されました.学術団体を立ち上げる気運が高まり,1972年に日本デンタルインプラント研究会と日本歯科インプラント学会が発足し,独自に学術大会の開催や学会誌の発行を続けました.インプラント治療が普及するにつれ両学会の統合の必要性が増し,1986年に日本口腔インプラント学会として新しい門出を迎えました.その後法人格,さらに公益社団法人格を取得し,日本歯科医学会にも正式に加入を認められ,今ではわが国歯科界最大の学会にまで成長しました. 前身の学会発足から50周年を迎えたので,昨年7月に学会創設50周年記念誌を発行し,約16,000名の全会員にCD-ROM版を提供しました.この中で,学会の歴史に貢献した先駆者に焦点を当てた座談会を企画し,貴重な証言をまとめることができました.インプラント治療に携わっている多くの関係者にぜひとも目を通していただきたいと思います. 一方,インプラント治療が普及するにつれて,患者とのトラブルも増え,国民生活センターから多くの要望を頂戴しました.学会はこれに応えて,治療指針をはじめとする学術情報の発信,国民向けのインプラント治療にかかわる情報提供,さらに認定医制度の充実など,信頼の回復に向けて鋭意取り組んできました. 戦後の医療改革・教育改革のもとで,医師および歯科医師養成の学部教育ならびに国家試験制度が確立しました.その後の卒後研修制度が必修化され,医師の2年に対して歯科医師は1年以上になりました.医師はその後のキャリア形成において,さらに新しい専門医制度がスタートして,研修終了後に3年以上の後期研修を続け,基本領域の専門医を取得します.昨年,日本専門医機構が認定した専門医が従来の厚生労働省の広告できる専門医に替わることが正式に発表され,法律も改正されました.歯科においても同じ流れになり,日本歯科専門医機構の認定が始まり,現在,歯科麻酔,歯周病,小児歯科,歯科放射線,口腔外科の5つの専門医が認証され,引き続き,インプラント歯科(仮称)を含む5つの領域の専門医認証に向けて準備が進められています. 歯科医師には歯科医師免許取得後1年以上の研修が義務付けられていますが,その後の研修は自由ですので,生涯学習の場として学会の位置づけがより重要になってきています.読者諸賢におかれましても,本学会を積極的にご活用ください.1111宮﨑 隆(Takashi Miyazaki)巻頭言

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