MRONJのリスクがある患者の歯科治療を行う時に読む本
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  日本(2021年10月時点)では,RNA合成酵素阻害薬であるレムデシビル3と,モルヌピラビル,プロテアーゼ阻害薬であるニルマトレルビル/リトナビル,さまざまな疾患に使用されているデキサメタゾン(ステロイド薬),すでに関節リウマチ薬として使用されているバリシチニブ4,ならびに入手困難である中和抗体製剤のソトロビマブ,トリシズマブ,ならびにカリシビマブ/イムデビマブがCOVID-19の治療薬として認可され,症状やステージにあわせ使用されています. 一方,認可はされていないのですが,日本で入手できる適応外使用薬剤(ある疾患  MRONJを引き起こす可能性がある薬剤として,チロシンキナーゼ阻害薬,モノクローナル抗体製剤(血管新参考文献1.HasanA,AlraisiS.MRONJandCOVID-19caution.BrDentJ2021;230(2):59‐60.2.診療の手引き検討委員会.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第7.0版).https://www.mhlw.go.jp/content/000904149.pdf(2022年2月25日アクセス)3.ギリアド・サイエンシズ株式会社.ベルクリー点滴静注液100mg添付文書.https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068750.pdf(アクセス:2021年9月6日)4.日本イーライリリー株式会社.オルミエント錠4mg/オルミエント錠2mg添付文書.https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3999043F1020_1_08/(アクセス:2021年10月5日)5.KingR,TannaN,PatelV.Medication-relatedosteonecrosisofthejawunrelatedtobisphosphonatesanddenosumab-areview.OralSurgOralMedOralPatholOralRadiol2019;127(4):289‐299.57に対してすでに使用されている薬剤ですが,COVID-19の治療薬にも使用している場合,これを適応外使用とよびます)としては,たとえば,抗IL-6受容体抗体製剤であるトシリズマブとサリルマブは15か国でCOVID-19の治療薬として使用されており,治療効果があることが示されています.これらは関節リウマチの治療薬としても使用されている薬剤ですが,MRONJと関連する可能性も報告されており注意が必要です1.生抑制薬,抗CD20抗体製剤,ならびに抗TNF-α抗体製剤など),mTOR阻害薬,融合タンパク質,ならびに免疫抑制剤(メトトレキサート,ステロイド製剤)などが挙げられています5. したがって,日本でCOVID-19の治療薬として認可されている,あるいは適応外使用で使用されている薬剤の一部には,MRONJのリスクとなる薬剤が含まれているかもしれません.今後の世界におけるCOVID-19の拡大状況にもよりますが,COVID-19の患者が増えていくと,それにともなってMRONJの患者数も多くなる可能性があります. つまり,COVID-19とMRONJは関連する可能性があるため,今後のさらなる科学的情報に注視しておく必要があると思われます.日本におけるCOVID-19の治療薬MRONJを引き起こす可能性のある薬剤とCOVID-19治療薬

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