参考文献1. 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル.骨吸収抑制薬に関連する顎骨壊死・顎骨骨髄炎 平成21年5月(平成30年6月改定).https://www.pmda.go.jp/files/000224758.pdf(2022年2月15日アクセス)2. 顎骨壊死検討委員会.骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会のポジションペーパー 2016. https://www.jsoms.or.jp/medical/wp-content/uploads/2015/08/position_paper2016.pdf(2022年2月15日アクセス)図00-1 肺がんにより,ランマークが3年半投与されている患者の上顎に生じたMRONJ(写真ご提供:梯裕恵先生〔九州大学大学院歯学研究院/唐津赤十字病院〕).顎骨骨髄炎歯が原因で感染する場合や,嚢胞や腫瘍の二次感染による顎骨骨髄の炎症のこと.8□ 薬剤関連顎骨壊死は骨壊死をともなう慢性骨髄炎である.Clinical Question歯科医師が押さえたい!臨床的ポイント用語解説Answer解説 厚生労働省が報告している「重篤副作用疾患別対応マニュアル 骨吸収抑制薬に関する顎骨壊死・顎骨骨髄炎」(平成30年6月改定)1によれば,顎骨壊死(図00-1)とは,「あごの骨の組織や細胞が局所的に死滅し,骨が腐った状態になること(原文ママ)」と記載されており,実際には顎骨壊死単独ではなく顎骨骨髄炎(むし歯や歯周病が進行し,口の中にもともと生息する細菌による感染があごの骨にまで及んだ状態[原文ママ])を併発していると考えられています. 一方,顎骨壊死検討委員会が作成した「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016」2によれば,ビスホスホネート製剤(以下,BP製剤)により誘発される薬剤関連顎骨壊死の病理組織所見は,「骨壊死を伴った慢性骨髄炎である」と明記されています.ところが,BP製剤に起因する薬剤関連顎骨壊死が他の薬剤に起因するものと同じ病理組織像を示すかは明らかでないため,薬剤関連顎骨壊死のすべてが上記に該当するわけではないかもしれません.薬剤はその作用機序がすべて異なるため,薬剤関連顎骨壊死という疾患名が同じであっても,薬剤ごとにその対応方法が異なる可能性があることを肝に銘じておかなければなりません.00薬剤関連顎骨壊死とは何でしょうか?顎骨の一部が壊死した慢性の骨髄炎と考えられています
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