超速でわかる有病者にやっていい治療,だめな治療
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やっていい歯科治療注意すべき歯科治療有病者の治療の基本的な戦略循環器系疾患の患者脳血管・血液疾患の代謝性疾患の患者患者精神病などの患者妊婦などそのほかの有病者73CHAPTER 5 脳血管・血液疾患の患者1.従来からの抗血小板薬抗血小板薬2.最近の抗血小板薬1.経口の抗凝固薬抗凝固薬2.注射用製剤ヘパリン類ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(u-PA薬):ウロキナーゼ組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA薬):モンテプラーゼ(クリアクター),アルテプラーゼ(グルトパ,アクチバシン)血栓溶解剤アスピリン(バイアスピリン,バファリン81),塩酸チクロピジン(パナルジン,チクロピジン),硫酸クロピドグレル(プラビックス),シロスタゾール(プレタール),ジピリダモール(ペルサンチン,アンギナール),サルポグレラート(アンプラーグ),イコサペント酸エチル(エパデール,ロトリガ),トラピジル(ロコルナール),ベラプロストナトウム(ドルナー,プロサイリン),リマプロストナトリウム(オパルモン,プロレナール)プラスグレル(エフィエント),チカグレロル(プリリンタ)ビタミンK拮抗薬:ワルファリン(ワーファリン,ワーファリンカリウム)直接経口抗凝固薬(DOAC):抗トロンビン薬:ダビガトラン(プラザキサ)抗Xa薬:リバーロキサバン(イグザレルト),アピキサバン(エリキュース),エドキサバン(リクシアナ)未分画ヘパリン(ノボ・ヘパリン,カプロシンなど)低分子量ヘパリンおよび類似薬:ダルテパリン(フラグミン,ヘパクロン),エノキサパリン(クレキサン),ダナパロイド(オルガラン)合成抗トロンビン薬:アルガトロバン(スロンノン,ノバスタン,アルガトロンバン注射液)合成Xa阻害薬:フォンダパリヌクス(アリクストラ)参考文献 1. 西田百代.イラストでわかる有病高齢者歯科治療のガイドライン.東京:クインテッセンス出版,2004. 2. 今井 裕,ほか.有病者歯科学.京都:永末書店,2021. 3. 抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン(2020年版).東京:学術社,2020.●抗血栓薬は,以前は休薬下に外科処置を行なっていましたが,休薬中に生じた血栓が,術後抗血栓薬を再開した際に,梗塞の原因となる可能性があることから,現在は休薬せずに行うことが一般的です.表2 主な抗血栓薬一覧.【Q】 脳梗塞 脳梗塞の既往がある患者の歯科治療時に,注意することを教えてください.【A】 かかりつけ医へ対診し,病態を把握しましょう.外科処置だけでなく,スケーリングなどでも出血が止まりにくいことがあります.抜歯の際には止血剤やサージカルパック,止血シーネなど事前に準備しておくと安心です.[くわしい解説]●治療前には主治医へ対診し,病態を把握することが必要です.主治医へ対診し,現在の病状,血液検査データ,投薬内容,後遺症の有無の確認が必要です.とくに抗血小板薬を服用中であれば,血小板数,抗凝固薬を服用中であればPT-INRを確認しましょう.外科処置の場合,血小板数は5万/μL以上,PT-INRは3.0未満であれば止血可能といわれています.しかし,止血のための処置は必要となりますので,①ガーゼでの圧迫止血,②局所止血薬(アテロコラーゲン,酸化セルロースなど)を抜歯窩に挿入,③抜歯窩創縁の縫合,④サージカルパック,止血シーネ使用,を行うことを検討しましょう.●後遺症で片麻痺がある患者では,舌運動障害や声帯麻痺(CHAPTER 1-6 図1参照)により誤嚥のリスクが高いことがあります.歯科治療時に確実なバキューム操作や体位をなるべく起こした状態で処置をすることで,誤嚥のリスクを減らすことが重要です.

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