超速でわかる有病者にやっていい治療,だめな治療
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やっていい歯科治療注意すべき歯科治療有病者の治療の基本的な戦略循環器系疾患の患者脳血管・血液疾患の代謝性疾患の患者患者精神病などの患者妊婦など昇◎そのほかの有病者△◎重要 ○要 △必要に応じて行う725-1 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)岩本昌士1, 2,柴原孝彦2(東京歯科大学口腔病態外科学講座1,東京歯科大学千葉歯科医療センター2)脳卒中血圧計パルスオキシメーターバイタルサインモニタ血圧SpO2◎○脈拍数心電図脳血栓症脳塞栓症一過性脳虚血発作可逆性虚血性神経障害高血圧性脳内出血頭蓋内出血クモ膜下出血硬膜下出血硬膜外出血脳梗塞脳出血体温△5-1脳血管障害(脳梗塞・脳出血)【知りたいこと】 ①服薬状況(抗血栓薬:抗血小板薬,抗凝固薬) ②血液データ(血小板数,PT-INRの数値)【決めたいこと】 観血処置(抜歯,インプラント手【問診のポイント】●脳梗塞あるいは脳出血の発症時期 「脳梗塞(脳出血)【治療禁忌の条件・数値】①脳出血●血圧:収縮期血圧/拡張期血圧が,180mmHg以上/【歯科治療のポイント】●主治医へ対診し,現在の病状,血液検査データ,投【この疾患の解説】●脳血管障害は,脳血流の減少または途絶によって神経組織が死滅し,意識障害や運動麻痺などの精神・神経症状が出現した状態のことで,脳梗塞と脳出血に大別されます(表1).①脳梗塞●血栓形成により脳血管が閉塞し,そこより末梢の脳組織に血流がいかなくなり壊死を起こす状態です.原因疾患として心房細動という不整脈が多く,治療薬として抗血栓薬を使用しています.②脳出血●脳内にある小動脈瘤が血圧上昇にともなって破裂し,血液の貯留により頭蓋内圧が亢進し,脳組織が壊死する状態です.心房細動は,不整脈の1つで,脳梗塞の原因となる疾患です.治療薬として抗血栓薬を使用しています.主な抗血栓薬を表2に示します.表1 脳血管障害の分類.●脳出血既往の場合は,処置中の血圧の変動に注意.●抗血栓薬(抗血小板薬・抗凝固薬 表2)服用中の場合,観血処置中・処置後の出血に注意(後述).●後遺症で片麻痺がある場合,舌運動障害や,反回神経(迷走神経の分枝)麻痺による誤嚥に注意.超速でわかる脳血管障害(脳梗塞・脳出血)【避けたいこと】 ①出血(止血が困難) ②血圧の上術,歯周外科,縁下SRPなど)を中止するか?はいつ頃になりましたか?」●後遺症の有無 「その後,何か後遺症は残っていますか?」●脳梗塞の場合は抗血栓薬(抗凝固薬,抗血小板薬)(次ページ表2 CHAPTER 1–5 表5参照)の確認 「血をサラサラにするお薬は飲まれていますか?」110mmHg以上②脳梗塞●血小板数:5万/μL未満●PT-INR(プロトロンビン時間 国際標準比):3.0以上薬内容,合併症の有無を確認する.⇒抗血小板薬を服用している場合は血小板数,抗凝固薬を服用している場合はPT-INRの数値を確認.●抗血栓薬は,現在,休薬しないで歯科治療(外科処置)を行うことがほとんどです.休薬中に形成された血栓が,再開時に梗塞の原因となることがあるからです.●ダビガトラン投与中の患者では,拮抗薬を投与できる医療機関を確認して,観血的処置を行います.

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