超速でわかる有病者にやっていい治療,だめな治療
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やっていい歯科治療注意すべき歯科治療併用注意の薬使用禁忌有病者の治療の基本的な戦略慎重投与循環器系疾患の患者脳血管・血液疾患の代謝性疾患の患者患者精神病などの患者妊婦などそのほかの有病者●狭心症でも,発作が10分以上持続し,ニトログリセリン投与の効果があがらない場合は,抜歯は禁忌です(CHAPTER 3-2 参照).61-2 単純抜歯してはだめな病気・薬ハロタン含有吸入麻酔薬ハロタン三環系抗うつ薬非選択性β遮断薬抗精神病薬α遮断薬クラス3抗不整脈薬イミプラミン塩酸塩などプロプラノロール塩酸塩などブチフェノン系抗精神病薬,フェノチアジン系抗精神病薬など(ハロペリドール,クロルプロマジンなど)ウラピジル,テラゾシン塩酸塩などアミオダロン塩酸塩TER 3-1 表1a 高血圧患者カテゴリー分類 参照)(2)高血圧III度(180/110mmHg以上)の場合(3)脳血管障害,狭心症,心筋梗塞,慢性腎臓病などを合併し,高血圧II度(160~179/100~109 mmHg)の場合表3 オーラ®注歯科用カートリッジ使用に注意すべき疾患,薬.*参考文献6より作表血管攣縮高血圧症甲状腺機能亢進症心不全動脈硬化重症肝機能障害重症腎機能障害心刺激伝導傷害全身状態不良高齢者小児(0〜14歳)(2)弁膜症および心内膜炎●弁膜症,心内膜炎のいずれも未加療で,心不全の既往がある場合は,抜歯は禁忌です.受診,および対診後に抜歯を行いましょう.抜歯の際は,一過性の菌血症による細菌性心内膜炎の予防のため,術前後の抗菌薬の投与が必要です.また,人工弁置換術を受けている場合は,抗凝固剤の投与も行われているので,出血に対する対策も必要です(CHAPTER 1-5 表3,4参照 CHAPTER 3-3 参照).(3)先天性心疾患(心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,肺動脈狭窄症,動脈開存症,およびFallot四徴候)●心不全の状態がなければ抜歯は可能です.抜歯の際は,一過性の菌血症による細菌性心内膜炎の予防のため,術前後の抗菌薬の投与が必要です.抜歯の全身的禁忌症①循環器疾患(1)虚血性心疾患(心筋梗塞,狭心症)●心筋梗塞の場合は,発作後6か月以内,また6か月以上を経過していても不整脈や狭心症の発作が頻発の場合,抜歯は禁忌です.(4)高血圧症●高血圧症は,収縮期血圧が140mmHg以上,あるいは拡張期血圧が90mmHg以上の場合に診断されます.十分にコントロールされている患者では,通常の抜歯は問題ありません.しかし,(1)高血圧の病状がカテゴリー1~3の場合(CHAP-(4)急激な血圧上昇(180/110mmHg以上)と,頭痛・めまい・嘔吐・痙攣が起きた場合は,抜歯は禁忌です(CHAPTER 3-1 参照).(5)血液疾患(再生不良性貧血,白血病,血小板減少症,血小板無力症,血友病,von Willebrand病,無フィブリノーゲン)●白血病では,治療により長期緩解状態なら抜歯は可能です.血小板数が2万以下,PT-INR値が3.0以上なら抜歯は禁忌です.また,白血球数が1000/μL以下,そのうち好中球数が500/μL以下の場合には,抜歯は禁忌です.どうしても抜歯が必要な場合は,血小板輸血や凝固因子の補充をして行う必要があるため,全身管理下で抜去できる専門機関へ紹介しましょう.

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