212 CR修復の適応範囲を改めて考えていこう. 筆者は過去に,接着性の問題や機械的強度,マテリアルの劣化の問題などから考えると,CR修復の適応範囲は狭いと感じていた.しかし近年では,接着性の信頼性も高まり,マテリアルは機械的強度や劣化などに対する抵抗性が向上し,適応範囲は広がっていると感じている. それにともない,さまざまな部位へCR修復を応用しているが,充填部位によっては良好な結果が望めないことも考えられる.その理由としては,材料 CRの機械的強度は,他の修復材料(金属やセラミックス)と比較して劣るといわれてきた.近年,さまざまなマテリアルの開発により,以前より機械的強度は向上しているが,それでも金属やセラミックスと比較してCRの機械的強度は弱いので,咬合面を修復する際に,修復部位が機能咬頭まで覆うが進化し,接着性が向上しているとはいえ,欠点は存在することから,適応症の選択が重要になってくるのである.そして,充填する部位,口腔内の状態,術者の手技などにより,症例の難易度は大きく変わってくるので,その点を考慮することも重要である. このように,充填する部位により適応症や難易度も変わってくるので,私の考える適応範囲について部位別に提示する.窩洞か否かで難易度は変化する.咬頭を覆う場合,CRの厚みを多く取るなどの対応が必要である.また,咬合面の修復範囲が大きくなれば,CR修復の適応外となることも考えられる.咬頭を覆わない咬合面を充填することが術式的にも簡単であり,う蝕の早期発見が重要である(図3~7).12広がる適応範囲臼歯部咬合面の適応範囲CR修復の適応範囲を考える
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