口腔外科ハンドマニュアル2023
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YREGRUS LARODNA LATNEDCISAB : RANMES LAUSIVa図6a〜d フリーハンドで行われた不確実なフラップレス手術.フラップレス手術により₄部のインプラントは口蓋粘膜下に埋入された.フラップを形成し,インプラントを除去して再度直視下でインプラント埋入.結果としてMinimal Interventionではなくなった.dbc I693)十分な視野を確保する 手術を安全,確実に行うためには,明視野のもとで操作を行う必要がある.歯槽頂切開や歯頸部切開で十分な視野が得られない場合は縦切開が必要になる.縦切開は角化粘膜の厚い部分や粘膜骨膜弁の遠心部に設定すると目立たない. 患者の肉体的負担を軽減する目的で取り入れられているフラップレスのインプラント埋入手術は「ミニマルインターベンション:Minimal Intervention(MI:最小限の侵襲)インプラント」とよばれ,盛んに行われ始めている.しかし,MIとは手術方法を指すのではなく,最終的な結果として最小限の侵襲で良好な治療効果が得られることをいうのであって,フラップレス手術によって不良な結果(図6)を招き,最終的にMaximal Interventionとなるのであれば本末転倒である.MIのためのフラップレス手術では,シミュレーションシステム,サージカルガイド等の使用が前提である.図5 切開線の直下にインプラント埋入.粘膜切開部の創傷治癒は,骨面からの穿通枝が骨膜に分布し,粘膜へランダムパターンとなって広く分布する血行によってなされる.切開線の直下にインプラントを埋入することにより,同部から得られていた穿通枝による粘膜への血行は途絶えることとなり,切開創の治癒には不利な条件となる.4)粘膜骨膜弁を確実に縫合閉鎖できる 翻転した粘膜骨膜弁が確実に縫合閉鎖可能な位置に切開線を設定し,創を縫合閉鎖する.万が一,確実な縫合閉鎖ができなければ,同部は2次治癒の形式を取り,創傷治癒は遅延して,結局慢性炎症を惹起することになる.インプラント埋入手術に必要な基本的な外科知識とその手技Chapter1-1[5]剥離子の選択と使用方法 さまざまな形態の剥離子が市販されているが,インプラント手術の場合,小さな弁の形成が主体であるため,大きなものは使用しにくい.また確実に骨と骨膜の間に入り込み,骨膜損傷を最小限に抑えることが要求されるため,先端の形態は薄く鋭利なものが望まれる.剥離を行う際,もっとも注意すべき点は,骨膜に不必要な損傷を与えないことである.損傷を与えると弁の血行は不良となり,弁の壊死や創傷治癒の遅延を起こす.骨膜にダメージを受けることで,本来骨膜最深層で活発に増殖する幼若な骨

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