上顎洞との骨高径が少ない際,口腔内で吸収した欠損部位に対しての骨造成か,上顎洞内に骨造成を行う必要がある.その際,われわれ臨床医は各社から発売されているさまざまな骨補填材料から選択するが,自家骨,他家骨,異種骨,人工骨などから患者の利益となる材料を選択しなければいけない.しかし,現在までに使用されてきた材料は顆粒状の物であり,その操作性から血液やその他抽出した材料と混ぜ合わせ口腔内へ運び,また欠損部位へ填入しなければならないという煩雑さをともなった.今回,コラーゲン使用人工骨『ボナーク』1〜4)が製造販売承認され,その材料の形態にも特異性があり,リッジプリザベーション5,6)とクレスタルアプローチに使用した症例を供覧する.リッジプリザベーション症例においては,ボナーク填入後4か月待機してからインプラントを埋入した.クレスタルアプローチ症例では,上顎洞底から骨欠損底までは1mmであった.歯槽骨頂から欠損底までは8mmであったため,ボナークとインプラントを同時埋入し1回法とした.Clinic Report 89Clinical Report 89ボナーク® はじめに1996年日本大学歯学部卒業日本口腔インプラント学会専門医,日本顕微鏡歯科学会認定医,ITI国際インプラント・再生医学会インプラントスペシャリスト,先進歯科画像研究会歯科用CT認定医,CID Club常任理事,日本インプラント臨床研究会アクティブメンバー,ITI Study Club東京2Director,CISJ専門委員会委員,JIADS・JSCT Active member 他 症例1:ボナークを使用しリッジプリザベーション後オステオトームテクニックを用いたインプラント埋入の症例 患者は56歳,男性.₅部位にリッジプリザベーション後,オステオトームテクニック7)を用いインプラント埋入を行った症例である.術前の診査では著しい骨吸収をともなった歯根破折歯であることが確認できた(図1~5).骨がないため,抜歯8,9)と同時にリッジプリザベーションを行った.抜歯後,ボナークロッドタイプ1個,ディスクタイプ3枚を使用した.抜歯窩上部はコラーゲンにより閉鎖した(図6~16). 抜歯後3か月,リッジプリザベーションを行った部位の骨の評価を行った(図17~19).骨からの再生が認められたためインプラント治療を行うこととした.インプラント形成窩はすべて新生骨となるため,オステオトームテクニックにより自家骨に維持安定を求めるためにインプラント体(BLX直径4.0mm×長さ14mm,Straumann,Basel,Switzerland)を1回法にて埋入した(図20~26).埋入トルクは35Ncm以上得られたため,カスタムHCを装着した.甘利佳之 Amari, Yoshiyukiアマリ歯科・矯正歯科・口腔外科クリニック 院長Clinical Reportボナークを使用しリッジプリザベーション後オステオトームテクニック,クレスタルアプローチを用いてインプラント埋入を行った2症例
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