保険の有床義歯 臨床&請求 虎の巻
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a図2-1a,b 総義歯の構成要素。a:上顎総義歯。b:下顎総義歯。其の二総義歯(レジン床義歯)の特徴(基本的な構成要素)18 18  無歯顎の患者は、歯の喪失とともにその周囲組織も喪失している。総義歯(全部床義歯、フルデンチャー:FD)治療においては、咀嚼能力の回復のみならず、審美性・構音機能など、さまざまな機能を回復させることで、心理的・社会的なQOLも向上させることが可能であると考えられる。本稿では、保険の総義歯の基本的な構成要素を提示するとともに、設計・製作にかかわる基本的な手順を説明する。 総義歯の構造は単純で義歯床と人工歯により構成される(図2-1)。局部義歯とは異なり、支台歯や支台装置が存在せず完全な粘膜支持型の義歯となる。維持力は顎堤と義歯床の吸着により得られる。そのため、辺縁封鎖を確実にする必要があり、局部義歯と比較して義歯床を広く設定する必要がある。また、唾液量の少ない患者では吸着を得るのが難しいことがある。なお、咬合による義歯の安定をはかるため、フルバランスドオクルージョン*1の咬合様式の付与が望ましい。 義歯床*1 フルバランスドオクルージョン:両側性に全面が平衡咬合となる咬合様式。側方および前方滑走運動時に、作業側および前歯を含む非作業側の歯においても、上下顎の対応する咬頭どうしが全面に接触滑走することで、咬合の平衡が保たれる。人工歯人工歯b義歯床1臨床上の知識と押さえておくべきポイント保険の総義歯の基礎知識 の巻

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