GPのための矯正歯科臨床ガイドブック
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7 治療開始後16ヵ月の口腔内写真 8 治療開始後24ヵ月の口腔内写真 9 治療開始後27ヵ月の口腔内写真 上顎は犬歯の遠心移動が完了し,下顎は前歯を含めた再レベリングが完了した.上顎は側切歯遠心にキーホールループ,第二小臼歯遠心にオメガループを付与し,下顎は第一小臼歯遠心にキーホールオメガループを付与する.タイバックを行い,1ヵ月に1mmのペースで前歯のリトラクションを進めていく.この際,下顎側切歯間のワイヤーはリデュースし,歯根を舌側に移動させるトルクがかからないようにしておく.本症例では,審美性を考慮して上顎側切歯遠心に人工歯を接着している.上下顎とも前歯のリトラクションを進める.リトラクションが進んでくると,前歯が舌側へ傾斜し,上顎では前歯のラビッティング,下顎ではSpee湾曲が発現してくるため,必要に応じて上顎にはコンペンセーティングカーブを,下顎にはアンチカーブオブスピーを付与する.スペースの閉鎖が完了したら咬合の緊密化を図るため,必要な部位に垂直ゴムを掛け,咬合を完成させる.犬歯関係Ⅰ級,臼歯関係Ⅰ級となり,アンテリアカップリングが確立されれば,リムーブ(矯正装置除去)である.本症例も臼歯関係はⅠ級となり,過蓋咬合も改善された.図解でわかる! 不正咬合のタイプ別治療アトラス195Chapter 4

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