c叢生の大きい下顎前歯部に対してはいきなりDBSを行わず(a),まず両側犬歯間にオープンコイルを装着し,側切歯と中切歯が並ぶスペースを確保する(b).両側犬歯間に前歯の排列できるスペースが確保されたあと,側切歯と中切歯にDBSを行う(c).ab❷❸オメガループと第一大臼歯に接着したブラケットの遠心をリガチャーワイヤーで結ぶリガチャーを締めつけることによりキーホールループが開くキーホールループが閉じるとともに切歯がリトラクションする筆者は前歯部のリトラクションにクロージングループメカニクスを採用している.第二小臼歯・第一大臼歯間に設置されたオメガループを後方へ牽引することにより,前方部に設置されたキーホールループの脚部が開き,その脚が閉じる力で前歯部が後方へ牽引される.脚部の開く量を調整できる(基本的に1mm/月)ため,前歯の傾斜を確認しながら牽引を行うことができる.スライディングメカニクスでは,持続的な力がかかり続けるため,トルクコントロールを失うと,アーチ全体が山なりにたわみやすく,前歯の歯軸のコントロールが難しい.クローズドコイルによる持続的な力ボーイングエフェクトが起きる牽引方法にはいくつかあるが,筆者はオメガループとキーホールループを用いたクロージングループメカニクスによるリトラクションを採用している歯根周囲の歯槽骨の幅が,唇舌側とも極めて薄いことがわかる.図4-1-2 下顎前歯部で叢生量の大きい症例におけるレベリングレベリングが完了すると,抜歯スペースに向かって前歯部を牽引し,スペースの閉鎖を行う.図4-1-4 クロージングループメカニクス❶第一選択のメカニクスとはスライディングメカニクス図4-1-3 下顎前歯部のCBCT像150❷ リトラクション(後方移動)
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