TQ別冊_YEARBOOK2023
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PART 1regenerativemedicine)12別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2023」略 歴1987年 広島大学歯学部卒業1991年 石川県羽咋市にて,なぎさデンタルクリニック開業1998年 石川県金沢市にて,なぎさ歯科クリニック移転開院2008年 5-D Japanを石川知弘,北島一,福西一浩,南昌宏とともに設立所属学会・勉強会5-D Japanファウンダー,米国歯周病学会(AAP)会員,米国インプラント学会(AO)会員,ヨーロッパインプラント学会(EAO)会員,ヨーロッパ審美歯科学会(EAED)Affiliate member,日本補綴歯科学会会員,日本口腔インプラント学会会員船登彰芳石川県開業 なぎさ歯科クリニック 連絡先:〒920‐0031 石川県金沢市広岡2‐10‐6 2022年,『Flap stabilityとSoft tissue preservationからみた歯周・インプラント治療における再生療法』(クインテッセンス出版)を,南昌宏・片山明彦両氏とともに発刊させていただいた.本稿は,その番外編として報告させていただく. 歯周組織再生療法(以下,再生療法)の目的は,失われた歯肉,歯槽骨,歯根膜,セメント質を含む歯周組織を再生させる治療で,歯周治療のゴールといえる1.本稿では,筆者が再生療法を実践していくなかで,各ステップで重要な項目を,また再生療法の将来の展望も含めて述べることとする. 再生療法の変遷を紐解くと,1970年代にRamfjordら2はmodified Widman flapを応用し,一次治癒が達成されたならば歯周組織再生が起きる可能性を報告していた.その後,1982年にNymanら3が,歯周組織再生を明確に意図し,GTR法について最初の臨床報告を行ったことが基礎となっている. このコンセプトにおいて非吸収性膜が使用された理由は,物理的なバリアとして上皮細胞を排除することと,再生のための空間をつくることが目的であった.この手法がインプラント治療におけるGBRへとシフトしていくことになる. 再生療法が成功するためには,上皮と結合組織の間の「競争」の概念がこれらの背景にあり,根表面への結合組織性付着の成熟が上皮の妨害の前に行われるべきであることに基づくものであった.しかし,非吸収性膜の使用はしばしば歯肉の裂開を引き起こし,現在では再生療法では使用されなくなり,吸収性膜が使用されるようになっていった(図1). その後,1997年にHeiji4がエナメルマトリックスタンパク(エムドゲイン,ストローマン)についての臨床報告を行った.国内では,2002年から臨床応用されている. 歯の発生時,ヘルトヴィッヒの上皮鞘から分泌されたエナメルマトリックスタンパクは歯根膜にある未分化の間葉組織に作用し,セメント芽細胞に分化させ無細胞性セメント質をつくりだす.エムドゲイ1)再生医学(tissueengineeringandはじめに1.再生療法の変遷歯周組織再生療法の現在と展望〜再生療法を成功させる各ステップの重要性〜総論

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