サイナスフロアエレベーションアルティメットガイド
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ST分類(Sugai Toshiroの分類)難易度S(Simple:易)と難易度T(Tough:難)に二分し,特に困難なもののみ難易度ST(SuperTough:極めて難)とする.1.上顎洞側方面観による難易度 ・上顎洞底最深部が大臼歯部にあり,洞底が比較的なだらか:難易度S ・上顎洞が大きく,近心壁が前歯部付近まで及んでいる:難易度T2.洞底部の角度による難易度 ・洞底部が広くなだらか:難易度S ・洞底部が狭く急:難易度T3.洞底~内側壁の形態・陥凹(PNR)による難易度 ・洞底~内側壁がなだらか:難易度S ・洞底に凹凸がある形態や内側壁に陥凹がある:難易度T4.骨窓を設ける部位の骨壁の厚みによる難易度 ・骨壁が薄い:難易度S ・骨壁が厚い:難易度T ・骨欠損がある:難易度ST5.隔壁の有無による難易度 ・隔壁がない:難易度S ・隔壁がある:難易度T6.骨窓を設ける部位の血管(後上歯槽動脈)の走行による難易度 ・血管がない:難易度S ・血管が走行している:難易度T図2 ラテラルウインドウテクニックをより安全に行うためのCT画像分析による難易度分類.難易度を細分化すると複雑になり把握が困難となるばかりか実際の臨床で使用しづらいため,ST分類では難易度を単純化して難易度S(Simple,易)と難易度T(Tough,難)に二分し,特に困難なもののみ難易度ST(Super Tough,極めて難)とした16).経験の少ない術者でもCT画像を用いてラテラルウインドウテクニックの難易度を簡便に把握し,安全性と確実性を向上させることができる. インプラント治療の難易度分類にはSAC分類18)のように容易でわかりやすく臨床上で用いやすい分類があるが,ラテラルウインドウテクニックの難易度に関しては臨床で使用しやすい分類は見当たらない. そこで,著者は経験の少ない術者でもわかりやすくするためCT画像分析によるST分類(Sugai Toshiroの分類)を考案し,第48回日本口腔インプラント学会(2018年大阪市),第49回日本口腔インプラント学会(2019年福岡市),第23回日本顎顔面インプラント学会(2019年つくば市),第50回日本口腔インプラント学会(2020年Web開催),第38・39回日本顎咬合学会(2021年Web開催)において報告した. 難易度を細分化すると複雑になり把握が困難となるばかりか実際の臨床で使用しづらいため,ST分類では難易度を単純化して難易度S(Simple,易)と難易度T(Tough,難)に二分し,特に困難なもののみ難易度ST(Super Tough,極めて難)とした16)(図2). ここで,実際の症例をもとにST分類とその活用をくわしく紹介したい.71ラテラルウインドウテクニックの難易度分類:ST分類ST分類(Sugai Toshiroの分類)サイナスフロアエレベーションをより安全に行うための難易度分類4

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