オルソインプラントセラピー
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Ⅰ級仕上げ図15 Ⅰ級仕上げの典型例。(文献16より引用・改変)図16 Ⅰ級仕上げの口腔内の状態。(文献17より引用・改変) 咬合高径を挙上させることにより、下顎をクロックワイズローテーションさせると、Ⅱ級傾向が増し、Ⅲ級傾向を減弱させることができる(図14)。 静的な咬合における噛み合わせの簡易的なチェックポイントは、シンプルである。噛み合わせが安定するためには、1歯対2歯の噛み合わせが重要となる。矯正治療における咬合のひとつの目標となるⅠ級の仕上げとして、① 上顎の第一大臼歯の近心咬頭が下顎第一大臼歯の頬側裂溝に噛み込む②上顎の犬歯は、下顎の犬歯と第一小臼歯に噛む③上下歯列の正中は一致する左右合わせて5ヵ所のチェックポイントが噛み合わさっていれば、だいたいのところでのClassⅠは達成されているといえる。これは、あくまで頬側面観であり、舌側66図17 ClassⅠ上下顎前突。₄₄、₄₄抜歯により矯正治療を行った。第一大臼歯Ⅰ級、犬歯Ⅰ級、上下正中の一致などのⅠ級仕上げの条件を満たしている。の咬頭は1歯対1歯になっているところもある。6番のⅠ級咬合がわかりづらい場合には、①は、上顎第二小臼歯が、下顎第二小臼歯と第一大臼歯の間に噛むとしたほうがわかりやすい。第一大臼歯のClassⅠ、犬歯のClassⅠ、正中の一致、これらの噛み合わせが良く、歯のサイズのバランスが良ければ、噛み合わせは安定し、これをⅠ級仕上げと呼ぶ(図15〜17)。 成長期であったり、外科的矯正治療を行ったりするのであれば、ある程度、骨格的に問題があっても、理想的な正常咬合に導くことが可能であるが、成長もなく、外科的矯正治療を望まない場合には、ある程度、現在の骨の条件の中において、妥協的なゴールを目指すこととなる。すべての症例が、Ⅰ級仕上げにできれば良いが、骨の大きさのアンバランスや残存歯の状態により、Ⅰ級仕上げとするには困難な場合がある。その場合は、Ⅱ級仕上げやⅢ級仕上げを模索する。①②③④⑤噛み合わせのチェックポイント

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