日本歯科評論2月号
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高たか木ぎ淳あつ史しイメージしやすくなったといえる.最近では,COVID-19の感染拡大による社会的背景も相まって,自宅にいながら遠隔診療を受けることも可能になってきている. 当院では,開院当初から混合歯列期の矯正治療においても積極的にデジタル機器を活用してきた.混合歯列期におけるアライナー装置も,インビザラインFirstや院内ラボで製作し完成させるインハウスアライナーを中心に積極的に使用してきた.今回はその経験から,アライナー矯正を混合歯列期に活用する際のポイントについて,症例を振り返りながらお伝えする. 多くの矯正歯科医院と同様に,当院の矯正治療も大きく早期治療(Ⅰ期治療)と本格矯正(Ⅱ期治療)に分けて考えている.読者の方々はこの早期治療をどのように位置づけているだろうか(図1). 早期治療で考えるべき問題は大きく■つある.骨 「3Dプリンターを活用した,歯科矯正用マウスピースの製造,配送サービスを■月18日から開始」─昨年,こんな見出しが歯科界を駆け巡ったのは記憶に新しい.米国のアライン・テクノロジー社「インビザライン・システム」を筆頭に多くの後続勢が登場しており,マウスピースでの矯正治療(以下,アライナー矯正)の普及には目を見張るものがある.ワイヤー矯正に比べて「安い」「目立たない」「治療期間が短い」というイメージがあるためか,当院でもアライナー矯正を希望される方が増えている印象があり,その人気と認知度の高さがうかがえる. アライナー矯正が普及した背景には,間違いなくDX(デジタルトランスフォーメーション)の影響があるだろう.矯正歯科診療においては,デジタルデバイスを使用することで治療開始前に治療後の歯列を詳細にシミュレーションすることが可能となり,それにより,患者自身も治療前後の歯並びの変化をかなお矯正・小児歯科クリニック 勤務〒701-1154 岡山県岡山市北区田益1296-154 THE NIPPON Dental Review Vol.83 No.2(2023-2)Ⅰ アライナー矯正の普及とDXⅡ 混合歯列期での早期治療の目的連載 ■ 早期反対咬合への対応─その意義と注意点④アライナー型矯正装置を用いた切歯交換期からの対応

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