日本歯科評論2月号
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吉よし岡おか隆たか知とも 根管治療で,根管洗浄は必ず行われる処置だが,そのやり方は千差万別で,決まったやり方はない.本稿では効果的で確実な根管洗浄法について紹介してみたい. 根管洗浄で,これまで指摘されてこなかったことがある.それは根尖部の洗浄である.根尖部の洗浄を行うためには根尖孔は#40程度の大きさが必要であるが,これは陰圧による根管洗浄法で実現可能となった.この方法は2004年に福元らにより初めて報告され■),根尖孔から洗浄液を溢出させることなく,根尖部を洗浄できる.端部にニードルをねじ込むロック式のもの(トップシリンジ2.5mL,トップ)を用いる.これらを組み合わせ(図1),洗浄液にはNaOClを使用する.濃度は使用する製品により■〜10%となる. EDTAの使用も近年推奨されているようであるが,使用する必要はないと思われる.EDTAとNaOClの併用で,象牙質壁は電子顕微鏡レベルでエロージョンといってボロボロになる■).このような負の効果があるため,EDTA洗浄は不要である.そして,使用しなくてもその必要性を感じることはない.日本歯科評論(通刊第964号) 45吉岡デンタルオフィス〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-3-13 鈴木ビル1Finstruments, devices, and materials 2.シリンジ洗浄 ニードルを根管内に挿入して洗浄液を出し,根管口から溢れてきた溶液をバキュームで吸引する方法をシリンジ洗浄という.この方法は昔から行われてきた方法なので従来法と呼ばれることもある.洗浄液の吸引には根管バキューム(図2)を用いる.根管バキュームは先端の開口部が小さく,根管洗浄液を吸うのに適している.ユニットごとにバキュームの口径が異なるので根管バキュームを用意するときには注意してほしい.─ iNP-40Sを用いた根管内吸引洗浄法 ─使用する器材はじめに ₁.シリンジ,ニードル,洗浄液 根管洗浄で洗浄液を根管内に注入する器材としてニードルとシリンジが必要である.ニードルにはニプロブラント針27Gを使用する.27GはISO規格で外径0.4mm,内径0.22mmである.シリンジは,先効果的な根管洗浄

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