樋状根とRadix Entomolarisへの対応
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2PartⅡ菅すが原わら 佳よし広ひろ  水みず橋はし 亮りょう 一般的に下顎第一大臼歯の歯根は近心根と遠心根の■根性で,近心根にはやや彎曲した細い近心頰側根管と近心舌側根管の■根管があり,遠心根にはやや太い■根管,合わせて■根管が存在すると認識されている(図₁).基本的な形態としては間違いではないが,近心根は■根で近遠心的に■平な形態をしている.幼若永久歯で根未完成の時期においては■根管だったかもしれないが,成長過程や加齢により狭窄しながら■根管になっていくものと考えられている.そのため,近心頰側根管と近心舌側根管が完全に独立していることも多いが,これらの間には,イスマスが存在することも多く,根管口が■つあり根尖付近で合流して根尖孔が■つになることもある. このように複雑な形態をしていて,根管治療の際には直接見えにくい位置にあり,細く彎曲しているとともに,エンド三角が残ってしまっている場合は遠心から近心に向かう器具の操作方向になるため,難易度が高いと認識されることが多い.しかし,遠心根に関しては位置的に見やすく根管口が大きいため,抜髄の際の天蓋除去も遠心根をめがけて露髄させるという教育がなされているくらい治療しやすい根管であると考えられている.ただし,それは遠心根が■根である場合のことであり,遠心舌側根が存在しない状況のときだけである.実際のところ,日本においては遠心根が■根に分岐した■根性■根管の下顎第一大臼歯が高頻度にみられる.この下顎第一大臼歯における完全に分離した遠心舌側根をRadix Entomolaris(以下,RE)■)と表現される.100 Radix Entomolarisとは下顎第一大臼歯のRadix Entomolarisの解剖学的特徴

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