ブックタイトルapollonia201602

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概要

apollonia201602

009 2016.02す。 そこで、スポーツ歯科のマウスガードを応用して、ポリオレフィン系シート材を使用した独自のプロテクターを開発しました。演奏時に使用すると音質が良くなるという人が多くいます。初めて作製したプロテクターによって、オーボエ奏者の音色が非常に滑らかに変わった時は、私自身もびっくりしました。 音質だけでなく、スポーツ歯科のように外傷予防の意味合いがあるケースもあります。あるアマチュアのトロンボーン奏者は右下の1番が前突しており、楽器のマウスピースに引っかって出血し、痛くて練習できないという状態でした。プロテクターを作製すると、痛みを気にせず長時間吹けるようになり、感激して勤務していたコンピューター関係の会社から楽器関係の仕事に転職してしまったほどです。―「音楽歯科」では技術だけでなく、音の違いを聞き分ける必要もあるのですね。森 小学生のころからクラシック音楽を聴いて育ってきたため、音程や音色の違いは分かっているつもりです。また自分自身も歌うので、患者さんからは「音楽家への理解があるので助かる」と言ってもらっています。 当院に防音室はないのですが、幸い駅前で音に配慮する必要がないので、気兼ねなく音を鳴らしながらプロテクターの調整ができるので助かっています。 難しいのは、患者さんによって歯並びも楽器の吹き方も違うことです。日常生活に支障がない程度の歯並びのズレでも音に違いが出ますし、レジン充填しただけでも音色が変化するため、スポーツ歯科のマウスガードよりもデリケートな扱いが必要だと感じています。当然、プロテクターも一部の長さが少しでもしっくりこないと駄目で、取り組み始めたころは試行錯誤しながらの調整で苦労しました。 そういった意味では、絶頂期にある音楽家は、その時の口腔内状態を記録しておくための診断用模型やレントゲン、演奏写真なども重要だと思います。―管楽器は想像しやすいのですが、その他の楽器も口腔環境が影響するのですか。森 楽器を演奏する人は、長時間同じ態勢を強いられることも多いので、姿勢は重要です。スポーツ歯科でもバランスを良くする意味でマウスガードを活用していますが、音楽にも応用できます。管楽器内にプラークが付着している。