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119 2016.02本音の歯科医療需要とは「内科的歯科医師」がなぜ増加?「内科的歯科医師」の社会的背景―「このところ、歯科医師が内科医に近付いている」との見方があります。歯科医療に内科的な側面が求められるようになるというのは、どのような局面なのでしょうか。安田 歯科医療現場に内科的な技量が求められるようになった背景の第一には、高齢化が挙げられます。加齢によりさまざまな全身疾患、とりわけ循環動態に問題のある人が歯科治療を受ける場面が増えてきているのは事実でしょう。 ある種、「特殊な現場」と見なされることもある在宅訪問歯科診療だけでなく、一般の外来診療にも多くの高齢者が通って来ます。「待合室での様子が少し気になったので血圧を測ってみたら180を超えていた」という話も珍しくありません。これらの患者さんを安全に診療する(あるいは診療しないと判断する)ためには、バイタルサインを正確に読み、数値が示す臨床像を把握して適切な対処を行えるだけの技量が求められます。 また、高齢者に限ったことではありませんが、「口が渇く」「味がおかしい」といった訴えを抱えて歯科を受診する人も増えてきています。これらの背景に、多剤投与などの問題が隠れていることもありますから、薬剤の知識もある程度備えておく必要があるといえます。 第二には、主要歯科疾患がう蝕や欠損ではなく、歯周病だと考えられるようになったためだと考えられます。歯周病は現在、世界的に注目されている健康問題である非感染性疾患群(NCDs)と共通のリスクファクターを持っていて、歯周病の予防・治療と、NCDsのコントロールは並行して行われるようになってきています。その場合、歯科医師にもNCDsに関する十分な知識が求められるのは当然だといえます。 人口構造の変化と疾病構造の変化。これが、歯科医師に内科的な知識が求められるようになった理由でしょう。国試に実技試験を入れるアイデア―問題は「それらを、どこまで知っている必要があるか?」という点ではない