ブックタイトルapollonia_201512

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075 2015.12歯周病はなぜ「痛くない」のか?酪酸で読み解く口腔と全身の医学「なぜ?」と考える習慣が必要―患者さんを診て「なぜこんなに進行するまで歯周病を放置していたんだろう?」と不思議に思う臨床家は少なくないはずです。患者さんにしてみれば、その理由は極めてシンプルで、「あまり痛くないから」だそうです。今回は、歯周病が痛くないことの意義と全身疾患のリスクとの関係を考えたいと思います。よろしくお願いします。安田 歯槽骨が破壊されていくという歯周病の病態に比べて、本人が自覚する疼痛が非常に弱いことは、昔からよく知られていました。痛くないからこそ、歯周病の進行段階でも以前は「病気」とすら認識されず、・病気の結果としての動揺、出血、排膿という症状を「歯槽膿漏」という病気としていた時期が長く続きました。歯周病による歯の欠損を、加齢変化とする見方もありました。 しかし、現在の歯科界では、歯周病にはう蝕(根尖病巣含む)と並ぶ口腔領域の代表的な慢性炎症病変で、自覚症状なく進行していく「サイレントディジーズ」でもあるという認識が一致しつつあります。しかし、なぜ歯周病は、相当進行しても痛みを伴わないのでしょうか。落合 最初から結論のような話になりますが、P・ジンジバリスに代表される歯周病原菌が作る短鎖脂肪酸(酢酸、プロ日本大学歯学部細菌学講座・研究室内の実験風景。