DHが守れる最後のチャンス!インプラント周囲粘膜炎
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プロフェッショナルケアで除染するStep2 周囲粘膜炎に対し歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアは、インプラント周囲のデコンタミネーション、すなわち除染です。とにかく、できうる限りの手を尽くしてインプラント周囲の感染源、特に炎症を引き起こしている歯肉縁下のプラークを除去します。場合によっては、上部構造を外してでもきれいにしなければなりません(図20)。 しかし、実際のメインテナンスのチェアタイムの中で、上部構造をその場ですぐに外せる場合は限られています。上部構造を外す作業自体にも破損などのリスクがまったくないわけではありません。できれば上部構造を外さずに、歯肉縁下をきれいにしたい。そこでオススメなのがフロスです。フロスの有効性については次ページで筆者が行なった検証についてご紹介します1)。インプラントの歯肉縁下の清掃については、これまでもさまざまな道具を用いて清掃することが試みられてきており、本来であればフロスとそれらの方法との効果の比較も検証しなければなりません。しかし、安価で手軽に、しかもいつでも使用できるフロスを用いない手はありません。プロフェッショナルケアはもちろん、上手に使える方であればセルフケアで使用していただくことも可能です。ただし、いったん骨吸収を起こし、インプラントの表面が露出したようなケースでは、フロスの残渣が周囲炎を惹起するとの報告もあります2)。あくまでも周囲粘膜炎までが対象であり、周囲炎にはむしろ問題になる可能性がありますので注意が必要です。図20 粘膜面にプラークが付着した結果、歯肉縁下は悲惨なことにデンタルエックス線写真では骨吸収は認めないものの(a)、違和感があると訴えられた症例。クラウンを外したところ(b)、辺縁に炎症所見を認めた。念のためにアバットメントを外してみると(d)、歯肉縁下相当部には多量のプラークが付着していた(c)。cdデンタルエックス線写真では骨吸収は認めず(e)、患者に自覚症状はなかったものの、プロービングで約6mmの深さがあり、出血を認めたケース(f)。アバットメント歯肉縁下相当部には多量のプラークが付着し(g)、インプラント周囲溝内の粘膜も発赤している(h)。hgabefアバットメントを外してみると……アバットメントを外してみると……患者の自覚があった症例患者の自覚がなかった症例特にフロスは、清掃効果も十分なうえに、上部構造を外さずに使用できるのでオススメ!第2章 適切に対応し、確実に改善させる23

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