DHが守れる最後のチャンス!インプラント周囲粘膜炎
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天然歯のプロービングとの違いを認識して取り組むPOINT図8 インプラントの構造インプラントでは、歯根部がインプラント体(フィクスチャー)とアバットメントの2ピースのものが大部分を占める。クラウンは、セメントもしくはスクリューでアバットメントに固定されている。このクラウンとアバットメントの両者を差して上部構造と呼ぶ。 注意点2で挙げたように、上部構造を装着したままだと大きな誤差が生じるため、できればプロービングの際は上部構造を外すことが理想です。しかしながら、上部構造を歯科医師に外してもらうことが難しい場面もあるかもしれません。そこで、インプラント周囲の炎症を診る大まかな検査と、PPDを診る正確な検査を分けて考えるとよいでしょう。[その1]大まかな検査と、正確な検査に分けて考える表1 mGIの評価基準スコア判定内容0インプラントに隣接した粘膜縁に沿ってプロービングした際に、出血がない1孤立した出血点がみられる2インプラント辺縁粘膜に沿った線状の出血3著明な出血臨床研究で多く用いられるmGIのスコア。インプラント1歯ごと、あるいは1歯を4点で、周囲歯肉の炎症を評価する(ポケットの深さを評価するのではない)。図10 上部構造の有無で、ポケットへのアクセスが違う外していない状態外した状態図9 前歯部インプラントアバットメントのバリエーション同じ前歯部の上部構造でも、インプラント体の埋入ポジションはさまざまある。そのため、歯肉縁下のアバットメントの形状や素材は症例によって大きく異なる。(写真提供:鈴川雅彦先生/AICデンタルクリニック)abc インプラント周囲の炎症指標である、改良歯肉炎指数(modied Gingival Index:mGI)で出血の程度をスコアリングしましょう(表1)16)。炎症状態だけを調べるのであれば、インプラントのポケットではなく、インプラント周囲の辺縁粘膜をプローブで触れることで検査できるので、必ずしも上部構造を外さなくても把握することは可能です。炎症状態を検査する場合 上部構造が装着されたままではクラウンの豊隆にプローブが干渉するため、正確な検査は期待できません(図10a)。プロービングでPPDを正確に計測するのであれば、労を惜しまず、やはり上部構造を外さなければなりません(図10b)。PPDを検査する場合アバットメントクラウン上部構造インプラント体(フィクスチャー)ab(文献16より引用改変)本来の挿入位置実際の挿入位置第1章 病態を理解し、メインテナンスで見逃さない15

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